研究課題/領域番号 |
17H02247
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
堀 芳枝 獨協大学, 外国語学部, 教授 (30386792)
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研究分担者 |
足立 眞理子 お茶の水女子大学, ジェンダー研究所, 教授 (10347479)
長田 華子 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (20632285)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 新興アジア / 新国際分業 / BPO / 女性と労働 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、2000年代に入ってフィリピン、インド、中国で「サービス部門の国際分業」として展開し始めているビジネス・プロセス・アウトソーシング(Business Process Outsourcing、以下BPO)の国際資本移転の動向と多国籍企業の組織形態、そして女性労働実態について統括モデルを検討し、新興アジアのサービス部門の新国際分業論を構築することにある。 平成29年度の初年度はまず、先行研究のサーベイと、海外での企業調査を通して資本移転の動向と、女性労働者が働く企業分析に着手した。BPO企業の資本移転についてはUNCTADの資料、アジア開発銀行ほかの資料を調べ、フィリピン、中国、インドの企業訪問準備および訪問を研究協力者の協力のもとに実施した。また、研究会を5月(計画のための打ち合わせ)、8月、11月、3月に実施した。 その結果、アジアにおけるBPOの産業は、フィリピン、インド、中国だけでなく、ベトナム、カンボジア、タイ、シンガポールなどにも拡大中であること、日本にもまだ沖縄と北海道にコールセンターなどがあることがわかった。そのため、それらの地域を専門とする研究協力者に沖縄とシンガポールの実態調査を依頼して、プレリミナリー的な調査をおこなった。 具体的な研究実績の成果としては、国際フェミニスト経済学会(ソウル)や日本国際政治学会のジェンダー分科会、日本フェミニスト経済学会などにおいて、研究代表者や分担者が発表をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画にもとづいて、文献調査、フィリピンと中国の企業訪問を実施することができた。インドについては研究分担者が平成30年度からイギリスのロンドン大学に研究拠点を移す関係でで、平成30年度に訪問することになったが、その準備として11月にインドのBPOについて詳しい日本人研究者を招聘して研究会を実施して知見を深めることができた。また、BPOの国際分業のアジアにおけるヒエラルキーがあることが、次第にわかってきたので、分担者の長田華子准教授がベトナムを訪問し、企業を視察しただけでなく、沖縄のコールセンターについても研究協力者にお願いしてみてきてもらった。また、シンガポールのBPOについても情報をえることができた。以上のことから、この1年で最終目標である、BPOについての統括モデルに向けての足がかりができたといえるからである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は資料収集を継続するとともに、当該国の女性労働者へのインタビューを実施して、BPOというグローバル資本の移転が、女性や世帯といったミクロレベルに与える影響を分析する。まず、4月~6月に海外の連携研究者を介しながら、前年度に訪問した企業で働く女性労働者を中心に、研究分担者が研究連携者とともにインタビューを実施する。目標は1か国10名だが、国の事情もあるのでできる範囲で行うこととする。その際、個人情報には十分注意する。また、秋にはケースを収集して分析し、国際比較を行う。そのために研究会をおこなう。特に10月にはアメリカのコロンビア大学からサスキア・サッセン教授が来日するので、研究会に招聘して、BPOの成長とジェンダーについて意見を伺うこととする。そのほかにも、お互いの調査報告の成果をおこない、グローバル資本の移転と社会―女性の労働や世帯への影響について国際比較をおこないたい。
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