研究課題/領域番号 |
17H02264
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
浅見 洋 石川県立看護大学, 看護学部, 特任教授 (00132598)
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研究分担者 |
林 晋 京都大学, 文学研究科, 教授 (40156443)
森 雅秀 金沢大学, 人間科学系, 教授 (90230078)
美濃部 仁 明治大学, 国際日本学部, 専任教授 (50328960)
秋富 克哉 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (80263169)
上原 麻有子 京都大学, 文学研究科, 教授 (40465373)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 西田幾多郎 / 未公開ノート類 / 研究資料化 / 水損資料の修復 / 1次翻刻 / 2次翻刻 |
研究実績の概要 |
水損ノート50冊は国内で最高度の乾燥処理技術と史料修復技術をもった国立奈良文化財研究所と関連の修復業者に依頼して修復作業を実施した。その結果、17年末で50冊のノートの内、固着がひどい4冊のノート以外は展開、クリーニング、画像データ化を終えた。残り4冊も18年3月末には可能な範囲の展開、クリーニングを終え、次年度に画像データ化に着手する予定である。修復の見通しがほぼ立ち、判読可能性が高いもののうち、社会教育・研究資料として価値の高いと推測される講義ノートから順次翻刻に取り組んでいる。 17年度末までに、森雅秀(分担研究者)を中心とする金沢大学の翻刻グループが「倫理学講義ノート」(4冊)「研究ノート」(1冊)、林晋(分担研究者)を中心とする京都大学の翻刻グループが「宗教学講義ノート」(4冊)「研究ノート」(5冊)の計14冊の一次翻刻を行った。1次翻刻における作業者による読みおこしのバラツキや誤記の修正や分析・編集作業を行うニ次翻刻がほぼ完了しているのは「倫理学講義ノート」1冊であり、残りの「倫理学講義ノート」3冊と「宗教学講義ノート」4冊の二次翻刻を遂行中である。尚、本研究における修復、一次翻刻は石川県西田幾多郎記念哲学館の事業として館の運営主体であるかほく市の予算で、二次翻刻における研究作業は本科学研究費で実施している。 17年度の修復、翻刻の経過報告は『「西田幾多郎未公開ノート類 研究資料化」報告1 2017』前田印刷株式会社出版部(2018年3月30日)として刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
汚損資料の修復、画像データ化、翻刻作業、報告書作成にはかなり大きな経費を必要とするが、石川県西田幾多郎記念館の運営主体であるかほく市予算でカバーしていただき、順調に進めることができた。 翻刻に関してはインク流れ、カビによる破損等があって判読不能、困難な文字が多く、若干精度に欠ける部分がある。また、引用文献、著者調査や外国語翻訳はかなりの語学力、研究能力、研究時間を必要であった。そのため.一、二次翻刻がほぼ完了していても、さらに分析、解読を進め、研究資料化のためにはより精度を高め、校訂を繰り返すことが求められる。ただし、現時点では石川県西田幾多郎記念哲学館、京都大学、金沢大学、国立奈良文化財研究所などがコラボレートすることによって、おおむね当初の計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究期間内(2020年度)にはノート50冊の修復と画像データ化を終え、優先順位を決めて可能な限り一次翻刻を行いたい。また、2020年の西田幾多郎生誕150年を目途に、研究資料として特に重要と思われる「倫理学講義ノート」4冊、「宗教学講義ノート」4冊の二次翻刻作業を完了し、公刊(書籍化)することを目ざす。そのため、2018年度は①ノート50冊の画像データ化の完了、②インク流れなど汚損、破損部分の修復可能性の調査、③ノート14冊の一次翻刻、④「倫理学講義ノート」「宗教学講義ノート」計8冊の二次翻刻、研究資料化への編集作業の実施を予定している。
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