アフガニスタンのバーミヤン渓谷から1990年代に発見されたサンスクリット語およびガンダーラ語のインド語仏教写本断簡類、さらに他地域から発見された関連するサンスクリット語写本類に対して、海外の研究協力者と共に解読研究を行い、写本から回収される新たな仏教文献の原典を出版することが本研究の目的であるが、その中でも、特に、バーミヤン渓谷出土写本について『スコイエン・コレクションの仏教写本』の第5巻(最終巻)としてオスロより刊行することが本研究の主目的である。2021年度は、スコイエン・コレクション(ノルウェー)蒐集のバーミヤン出土写本に加えて、パキスタンのギルギットから発見されたと伝えられるサンスクリット語による『長阿含経』写本、さらに最近発見されたアフガニスタンのメス・アイナック遺跡出土のサンスクリット語樺皮写本断簡類、さらに2020年度に新たにアクセス可能となったバンコクのガネーシャ神社によって入手された多数のアフガニスタンおよびパキスタン出土写本について、海外の研究協力者と共に解読作業を継続的に行うとともに、テクスト作成を行い、他文献を比較して分析した。特にバーミヤン出土のサンスクリット語写本については、ドイツ・ミュンヘン大学のイエンス=ウヴェ・ハルトマン教授およびオスロ大学のイエンス・ブロールヴィック教授とともに解読作業を継続して、『スコイエン・コレクションの仏教写本』の第5巻(最終巻)の刊行に向けての準備を整えた。
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