研究課題
南方熊楠の論文執筆のための独特のメモである「腹稿」についての研究のためのワーキンググループを組織し、解読を進めた。その成果を2019年8月におこなわれた南方熊楠研究会夏期例会においてシンポジウムとして発表し、2020年3月刊行の『熊楠研究』14号において「腹稿の謎を探る」と題した特集にまとめた。この研究により、これまで全体像がはっきりしていなかった腹稿の現存数が100を超えることや、熊楠が腹稿を始めたのが1912年から1913年に特定できること、特に1914年1月に始まる「十二支考」の連載のために活用されたことなどが明らかになった。また、熊楠が情報源として「ロンドン抜書」「田辺抜書」という独自の筆写ノートを活用していた他、中国の博物学的知識のために「淵鑑類函」を多用していたなどの興味深い発見があった。8月の夏期例会においては、この他にシンポジウム「南方熊楠をどのように位置づけるか 学者・研究者・情報提供者」で議論がおこなわれた。また公募制の自由論題を中心として16本の発表があり、これらのうちの多くが『熊楠研究』に掲載されている。東京、関西、田辺の三箇所で毎月おこなわれている翻刻のための研究会によって、熊楠の日記のうちの未刊行の1914~1941分のほとんどの翻刻草稿を今年度までに完成することができた。6~7月に南方熊楠顕彰館において「スウィングル展」をおこない、6月22日に関連のシンポジウムをおこなった。このことにより、南方熊楠とスウィングル、田中長三郎の三人の交流に関する概要を明らかにすることができた。南方熊楠のノートおよび蔵書書き込み、および関連先行研究に関するデジタル画像化を進めたことにより、多くの部分の資料整備を完了することができた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 2件)
熊楠研究
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熊楠ワークス
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