研究課題/領域番号 |
17H02289
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
三村 尚彦 関西大学, 文学部, 教授 (10309205)
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研究分担者 |
村川 治彦 関西大学, 人間健康学部, 教授 (20527105)
小室 弘毅 関西大学, 人間健康学部, 准教授 (30551709)
門林 岳史 関西大学, 文学部, 准教授 (60396835)
染谷 昌義 高千穂大学, 人間科学部, 教授 (60422367)
稲垣 諭 東洋大学, 文学部, 教授 (80449256)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 荒川修作 / 現代アート / 建築 / 身体 / 天命反転 |
研究実績の概要 |
今年度は、研究実施計画にもとづきニューヨーク荒川+ギンズ研究財団(Reversible Destiny Foundation、以下RDFと略記)に所蔵されている、荒川+ギンズの遺稿資料のデジタル化作業を進めながら、その研究成果の中間報告という位置づけで研究分担者および研究協力者による共著書(『22世紀の荒川修作+マドリン・ギンズ 天命反転する経験と身体』フィルムアート社)を刊行した。本書には、マドリン・ギンズの未公刊遺作である『Forever Alive』の内容紹介などがおさめられている。これは世界初公開であり、本遺稿研究によって可能となった成果である。荒川の死後、ギンズが2人の思想をどのように展開しようとしていたのを考察するために、また本研究計画に記載した荒川とギンズ相互の影響関係および相違点を明らかにする目的のためにも、本書を公刊した意義は非常に大きいと思われる。 また荒川+ギンズ東京事務所に所蔵されている書簡や展覧会図録などのデータのデジタル作業を同事務所の協力のもとで行い、検索データベースのさらなる充実化を進めた。こちらに関しては、今後RDFと東京事務所と協議の上、具体的な運用を開始していく予定である。 その他では2019年6月オーストアリア・メルボルンのDeakin大学にて開催された国際カンファレンスBody of Knowledge2019にて「Arakawa and Gins Now: Philosophy and Creativity」というタイトルの発表パネルを実施した。また2020年2月にはコロンビア大学建築ギャラリー展示ディレクターのアイリーン・ソヌ氏を招へいし、国立国際美術館にて荒川+ギンズ『天命反転の橋』を主題とした講演会を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年(2018年度)にRDFと交わした遺稿デジタル化作業に関する合意書にもとづき、今年度はデジタルスキャン作業を本格的に開始した。当初計画よりは、ニューヨークのデジタル化は遅れているが、今後は急ピッチで進められていくと思われる。また荒川+ギンズ東京事務所の作業は、予定以上のスピードとクオリティーで進捗している。 また遺稿研究を盛り込んだ著書を予定どおり(2019年12月)公刊した。海外の研究者を招へいしての研究会、講演会も複数回開催した。 以上の状況をふまえて、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ニューヨーク荒川+ギンズ財団所蔵の遺稿資料について、さらにスキャン作業をすすめていき、データの分類やタグつけ作業も順次行っていく予定である。東京事務所で進めているデータベース構築も登録した研究者に一部に公開することなどをRDF、東京事務所と協議の上、行っていく。2021年度に開催を予定している第4回荒川+ギンズ国際カンファレンスの具体的な準備と計画を行っていく。9月にはニューヨークでこれまでの研究成果を報告する研究会をRDFと開催する予定にしている。 こうした計画のもと2020年度の研究を進めていくことになっているが、ニューヨークでは新型コロナ肺炎感染者が多く発生しているので、研究会開催やスキャン作業については予定変更など対応が必要と考えている。
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