研究課題/領域番号 |
17H02294
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 裕成 大阪大学, 文学研究科, 教授 (00243741)
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研究分担者 |
松原 典子 上智大学, 外国語学部, 教授 (10338428)
川瀬 佑介 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, 学芸課, 主任研究員 (40635124)
伊藤 喜彦 東海大学, 工学部, 准教授 (40727187)
久米 順子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60570645)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スペイン美術 / グローバルアート |
研究実績の概要 |
1492年に達成された国土再征服と、新大陸航路の発見という二つの重大事を象徴的な契機として、ヨーロッパの周縁に位置したスペインは、16世紀を通して広大な帝国を構築する。その帝国は、アイデンティティを異にする様々な人々を統合する文化の交通空間であり、そこでは、多様な図像文化や造形様式、技法・素材が時に起源の差異を超えて組み合わされ、あるいは、本来とは異なる意味のもとに解釈・転用され た。本研究は、スペインを中心とするイスパニア世界に成立した、その「境界的」 な美術の諸相を、歴史的な経緯と地理的広がりの両面から体系的に明らかにする。 2019年度は、上記の目的に基づき、優れたエル・グレコ研究者であるパク・ジョンホ氏(ソウル大学)を招聘し、「エル・グレコとヌード」というテーマで講演会および研究会を開催した。ここでは、16世紀スペイン・イタリアにおける人文主義的美術の交通について、ヌードという観点から議論し、その過程におけるエル・グレコの重要な役割について新たな知見を得た。 また、研究代表者・岡田はリマ(ペルー)において開催された国際学会に招聘され、'"Imagenes negociadas": Los “panos” del virrey Toledo y las primeras representaciones del Inca' と題する講演をおこなった。これは植民地統治の過程において、征服者の側が、征服された王朝のイメージをいかに表象し、利用したのかを明らかにしたもので、高い評価を得た。 分担者においては、伊藤喜彦がメキシコなどに出張し、関連の調査をおこなった。分担者全員の研究の進捗については国内研究会において共有している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定された国際招聘をおこない、16世紀スペインとイタリアにおける人文主義的美術の交通について、優れた知見を共有することができた。 研究代表者及び研究分担者は、上に記述の通り、必要な海外出張・調査などを行い、着実に成果を上げている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、2019年度に引き続き、ソウル大学のパク・ジョンホ氏を招き、継続して研究会を開催する予定である(ただしコロナ禍の状況により取りやめる可能性もある)。 国内メンバーについては、2018年度に協力者としてゲスト講演を依頼した今井澄子氏を新たに分担者に加えた。今井氏は、タピスリーの問題を中心に、ネーデルラントとスペインの美術の交渉について研究を分担する。 当初メンバー4名はそれぞれ、昨年度までに研究に必要な海外調査を全て終了した。本年度は、研究成果の取りまとめに向け、研究会での討議を重ねることになる。
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