研究課題/領域番号 |
17H02296
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
日高 薫 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (80230944)
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研究分担者 |
島津 美子 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (10523756)
櫻庭 美咲 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 機関研究員 (20425151)
福岡 万里子 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (50740651)
澤田 和人 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (80353374)
大久保 純一 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (90176842)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 収集 / 対外交流 / お雇い外国人 / 万国博覧会 / シーボルト / ベルツ |
研究実績の概要 |
本研究では、主として19世紀の在外日本関係資料の具体的な事例の調査をおこない、それらと19世紀以前の収集をめぐる情況との比較検討を通じて、日本コレクション形成の動向をたどる。 ①ドイツを中心に各地に散在するシーボルトの息子たち(アレクサンダーとハインリッヒ)の収集資料の調査(ブランデンシュタイン=ツェッペリン家、ヴュルツブルクシーボルト博物館、ミュンヘン五大陸博物館、ワイマール・クラシック財団、ニュルンベルクゲルマン国立博物館図書室)、ロイトリンゲン大学が所蔵するベルツ・コレクションの染織品調査をおこなった。その結果、シーボルトの末裔家ブランデンシュタイン城所蔵資料の中から、シーボルト父子収集資料の展示風景を撮影した4枚の古写真を発見し、一部の成果をシンポジウムおよび論文で発表した。②ピーボディ・エセックス博物館と学術協力協定を締結し、同館所蔵のモース・コレクションをはじめとする日本関係資料に関する調査協力の打ち合わせをおこなった。③ルッツェルン応用科学芸術大学との連携により、スイス絹織物産業関係資料(シーベル・ブレンワルト社の共同経営者であったシーベル兄弟の書翰、総計約300 通)の翻刻作業をすすめた。④19世紀における日本関連資料収集の歴史的展開と意義、活用の諸問題について、国内外の研究者が意見を交換する国際シンポジウム「異文化を伝えた人々―19世紀在外日本コレクション研究の現在」を開催(2017年10月28・29日、於国立西洋美術館講堂、同時通訳付)、海外から7名、国内より8名が報告をおこない、研究者を中心に一般参加者を含む164名の聴講があった。シンポジウム報告書は、平成30年度末に刊行予定である。⑤2冊の成果報告書『シーボルトコレクションから考える』・『シーボルト日本博物館の概要と解説―欧文原本・翻刻・翻訳』を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた国際シンポジウムは外部予算の獲得や共催機関の協力によって、同時通訳付2日間開催という理想的な形態で実施できた。多くの参加者を集め、予想以上の反響があったため、民間の出版社から報告書を刊行することが内定している。 また、各所への働きかけの結果、平成31年度にウィーン世界博物館において、同館所蔵のハインリッヒ・コレクションに関連する企画展示を共同開催することが内定し、すでにその準備にとりかかっている。 海外調査の成果として重要な古写真の新発見があり、一部はすでに論文等で発表し、新聞記事でも紹介されたが、ハインリッヒ・コレクションに関連する3枚の写真に関しては今後慎重に検討を重ねたうえで、平成31年度開催の展示において成果を公表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画にしたがって研究を進めていくが、平成31年度にハインリッヒ・フォン・シーボルト収集資料を中心とした企画展示を開催することが内定したため、平成30年度から31年度前半にかけては、当面展示構成上必要となる資料や関連分野を優先して調査研究をおこない、31年度後半から最終年度に向けて全体の研究成果を集約していきたい。 すなわち、前半には、シーボルト・コレクションの全体像とコレクションが担った社会的役割、関連する同時代の収集者によるコレクション研究(モース、ナウマン、ベルツなど)、ウィーン万博および同時代の日本展示に関する情報収集を優先する。 調査のための研究経費が不足しているため、引き続きその他の外部資金獲得に務める予定である。
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備考 |
本科研は、人間文化研究機構ネットワーク型基幹研究プロジェクト「日本関連在外資料調査研究・活用」事業の一環として国立歴史民俗博物館が推進する「ヨーロッパにおける19世紀日本関係資料調査研究・活用―日本文化発信に向けた国際連携のモデル構築」と連携するものである。
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