研究課題
平等院鳳凰堂は国風文化全盛期の建築として唯一の遺構であり、また堂内荘厳は絵画、彫刻、漆工芸、金工をはじめとした当時の最高級の技術の粋が集められている総合芸術としても知られている。堂内荘厳の詳細については、これまで『平等院大観』などの書籍として公開されてきたが、柱絵などは十分な調査がなされてきたとは言い難かった。本研究では、実地調査をふまえて、その詳細を示すことを目的としている。本年度は、その堂内空間の特徴を浮き彫りにするために、中国建築の調査を予定していたが出入国が難しい状況が続いていたためかなわなかった。中国建築目録、データベースなどを利用しつつ、比較検討できる要素を抽出した。またこれまでの成果をまとめつつ、中間報告として国際東方学者会議にて「平等院鳳凰堂の荘厳空間について」というタイトルで発表した。本発表では、とりわけ柱絵に描かれる奏楽童子のモチーフに着目しながら、創建当初にもくろまれた鳳凰堂の浄土空間構想について『観無量寿経』を軸に構成された空間であるという見通しを述べた。また近年議論がもりあがっている、摂関期にピークをむかえる「国風文化」について、当該時期の国風文化現象について絵画、彫刻、工芸などの美術工芸品を中心に整理した。こうしたフィールドで得られた知見などをふまえながら、あらためて中国文物の流入の増大が国風文化の形成に影響を与えたとする見方に疑義を呈するもので、本研究の具体的な成果は「国風文化」の議論にも貢献するものと思われる。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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MUSEUM 東京国立博物館研究誌
巻: 696696 ページ: 47-78
『空也上人と六波羅蜜寺』展図録
巻: ‐ ページ: 12-24
『国宝鳥獣戯画のすべて』展図録
巻: - ページ: 427-449