研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、フランスの映画批評家・映画理論家アンドレ・バザンの著作群が、映画研究のみならず広く芸術論として意義を有していることを示し、その今日的な可能性を探ることであった。本研究では主に以下のような問題について取り組んだ。リアリズムの概念の再考、バザンのアダプテーション論、バザンのテレビ論、バザンのメディア論、バザンの批評的実践の特徴、バザンにとって日本映画である。こうしたテーマについて、いまだに翻訳されていないバザンのテクストを邦訳し、紹介した。また、この活動のために、毎年1冊の研究会誌を刊行した。
映画史
研究成果の概要にも書いたように、アンドレ・バザンの映画批評には、今日の映画研究においても重要な問題となるリアリズム、ダプテーション、映画以外の他のメディアとの関係といった問題が、時代に先駆けて論じられている。それらの可能性を検討することは学術的にも大きな意義がある。また社会の諸問題が複雑に交錯する映画というメディアに対する理論化は、社会的意義も大きいと考えられる。