研究課題/領域番号 |
17H02301
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
北村 明子 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (40334875)
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研究分担者 |
荒谷 大輔 江戸川大学, 基礎・教養教育センター, 教授 (40406749)
兼古 昭彦 東京家政大学, 家政学部, 教授 (40626636)
楜沢 順 千葉商科大学, 政策情報学部, 教授 (50337713)
村尾 静二 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 外来研究員 (90452052)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 舞台芸術論 / 身体論 / 芸術人類学 / メディア論 / 舞踊学 |
研究実績の概要 |
現代における東南アジアの地域伝統文化の実践・継承と、その基盤となる地域社会の役割を、グローバル、ローカル、ナショナルの各次元において、多様さと矛盾を明らかにしながら検証し、現代舞台芸術の創作方法論を見いだすことを目的とする研究課題。このような課題のもと、H29年度は以下のような研究活動を進めた。1)カンボジア、インドネシアをはじめとする東南アジアの伝統芸術における身体技法とその共同体、社会背景、芸術領域背景のリサーチ・分析を実施した。(北村)2)国内では佐渡、国外では南アジアへと研究対象を広げ、伝統芸能、および現代の芸術表現についての現地調査を行ない、東南アジアとそれらとの比較研究を行った。(北村)3)現代舞台芸術と伝統芸術の思想、技法のつながりと対話がどのように可能かを、舞台芸術作品のコンセプトレベルで検証し、試験的に実践研究発表を佐渡、及びカンボジアプノンペンにて実施した。(北村・兼古)4)H29年12月、国内外の文献・視聴覚資料によるリサーチや、各地域における国立民族博物館、芸術大学との提携研究を進め、フィールド・リサーチを通して伝統舞踊・武術・音楽などのバックグラウンドを持つ現代の研究者らとの研究報告会を世田谷パブリックシアターの提携にて実施。(荒谷、村尾、北村)5)メディア論研究も舞台上演や現地フィールドワークの記録撮影についての課題を明確化し、翌年度に備え試験的な撮影を行なった。(楜沢)6)インドネシア(ジャカルタ・バリ島)にて学術調査。ジャカルタでは、昨年インドネシアで初めて設立された現代美術館MACAN、新国立図書館、バリ島では、バリ国立博物館を訪れて調査と資料収集を行った。また、バリ島では、ギャニャール県の調査地を再訪し、バリ島人の身体文化と芸術に関するフィールドワークと民族誌映像の撮影を行った。(村尾)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
各研究者のこれまでのリサーチ実績と構築してきたネットワークが急速により広範囲で繋がったことや、国際交流基金アジアセンターでのリサーチプロジェクト情報により、研究計画は発展的な広がりを得た。カンボジア、プノンペン市にあるAmrita Performing Arts との提携が強固となったため、現地でのフィールドワークと舞台実践研究発表を非常に良い環境にて実施することができた。またフィールドワークでは、ジョグジャカルタのプンチャック・シラットの団体Tantungan Project との人脈が繋がったことで、インドネシア、および、他地域のフィールドリサーチをスムーズに実施することができた。インドネシアではジョグジャカルタ、西スマトラのパダンパンジャンにて、武術プンチャック・シラットの各伝統流派のセッションプログラムからの個人的な招聘を受けたことにより、貴重な現地実践参加が可能となった。また、研究分担者、連携研究者らの自らの研究者・実践家ネットワークの広がりにより、バリにおける儀礼、ボルネオにおける精霊音楽についてのフィールドリサーチも実施することができ、東南アジア各地域のリサーチが急速に広げることができた。 数年先に予定していたタイのリサーチについては、チェンマイでの舞踊家の紹介にて武術実践者とのネットワークが繋がったことで、ラーンナ古武術技法や舞踊・音楽についてのリサーチを行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度の研究内容を踏まえ、H30年度は国内での舞台実践研究にその内容を反映させることができるよう、H29年度に考案された舞台創造研究における演出方法論を実践的に検証する。また、東南、南アジアにおけるリサーチの領域を広げ、インドネシア、カンボジアにおける芸術家・研究者らとの交流を継続し、ボルネオ(インドネシア)、バリ(インドネシア)、マニプール(インド)他、アジアの音楽家・研究者らと引き続き伝統芸術、儀礼などについての共同リサーチを続ける予定である。また、南~中央アジアとの様相の比較も射程に入れ、国内にて文献・視聴覚資料研究を進めることに加えそれぞれの専門家・研究者らを招聘し、研究報告会などを実施し、情報交換も機会を増やす予定である。具体的にはインドのマニプールとの共同リサーチを進め、ネパール、バングラデシュなどにも研究領域を広げ調査を進める中で中央アジアとの繋がりを考察する。舞台実践研究では、カンボジア、インドネシア、インド、日本の芸術家らが共同にて創作研究を行い、そのプロセスにおいて、伝統芸術の表現技法、現代の表現技法がどのように融合していくかの具体的方法論について考察する。またそれに対し分担研究者らとの連携を強化し、リサーチの映像記録、舞台上演の記録映像についても、アーカイブ化する方法論を射程に入れつつ、それぞれのステージにおける撮影方法の工夫を課題化し、実践検証する。
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備考 |
村尾静二、平成30年4月 東京通信大学情報マネジメント学部 特別講師「比較文化関係論-バリ島人の文化と社会」。 北村明子・兼古昭彦、Phnom Pehn post https://www.phnompenhpost.com/post-life-arts-culture/amrita-team-cross-cultural-performance
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