研究課題/領域番号 |
17H02302
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
小田中 章浩 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (70224251)
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研究分担者 |
日比野 啓 成蹊大学, 文学部, 教授 (40302830)
五島 朋子 鳥取大学, 地域学部, 教授 (80403369)
本橋 哲也 東京経済大学, コミュニケーション学部, 教授 (20230047)
舘野 太朗 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 研究員 (00803941)
中川 眞 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特任教授 (40135637)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 素人演劇 / 地域演劇 / コミュニティ・シアター / 市民ミュージカル / 民俗芸能 / 地域振興 / 社会包摂 / 野外劇 |
研究実績の概要 |
平成29年度は地域素人演劇に関して3回の研究集会と12回の調査を行った。まず5月の研究集会(大阪市立大学文学部)において、当該年度における研究の方向性と調査候補地を選定した。その後、以下について研究分担者、協力者がペアを組んで調査を行った。1) 市民ミュージカル:大杉ミュージカル(石川県)、ミュージカル劇団エール(前橋市)2) 伝統芸能の現代的展開:小稲の虎舞(神奈川県)、本郷神楽(広島県)、3) 市民参加の野外劇:函館野外劇(北海道)、4) (高齢者、障がい者の参加による)社会包摂的演劇:能代支援学校ミュージカル(秋田県)、市川チャレンジドミュージカル(千葉県)、劇団OiBokkeShi(岡山県)、5)コミュニティ・シアター:森の演劇祭(島根県)、6) 地域的連帯を目指した小劇場系演劇:平原演劇祭(埼玉)、7) フェイク宝塚:シークレット歌劇團0931(北海道)、ミュージカル劇団エトワール(福岡県)。この中で本郷神楽と劇団OiBokkeShiは、原則として全メンバーが調査に参加し、同時に研究集会を開催することによって、それまでに各メンバーが行った調査について情報を共有できるようにし、またそれぞれの調査について意見交換を行った。 研究成果のアウトプットとしては、2017年度日本演劇学会研究集会(2017年11月4日、愛媛大学城北キャンパス)において「素人演劇の身体性」と題されたパネルが組まれ、研究メンバーである日比野啓、片山幹生、畑中小百合、舘野太朗がそれぞれ報告を行った。またそれ以外に、五島朋子の論文「創造集団が運営する劇場と地域住民の関係構築に関する考察ー住民を対象とした質問紙調査をもとにー」『アートマネジメント研究』(第17・18合併号 88-103.pp)が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原則として今回の科研に参加する全メンバーが参加する研究集会は、当初の2回ではなく、3回実施することができた。また現地調査も当初予定していた7回ではなく、12回実施することができた。また調査対象は、科研の調書で示した四つのグリッド「明示的な公共性」(行政の関与:高→低)×「市民の自発性」(独自の美意識の発展:高→低)について、最低でもそれぞれ一つの調査を行うことができた。さらに演劇学会で4名の報告者によるパネル発表を行い、この問題について学会の関心を集めることができた。当初の計画通り進まなかったのは、予定していた論文発表(最低4名)が1名のみにとどまったことである。ただしこれは次年度のアウトプットが期待できる。もう一つは、地域素人演劇の担い手を交えた「対話」が十分に行われなかったことである。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、平成29年度に得られた知見に基づき、地域素人演劇に関する四つのグリッド「明示的な公共性」(行政の関与:高→低)×「市民の自発性」(独自の美意識の発展:高→低)に基づいた調査をさらに進めると同時に、平成29年度は十分に検討が行き届かなかった分野について調査を行う。調査は研究分担者協力者および研究協力者が全員参加して調査を行い、併せて研究集会を行うケース(2件)と、研究分担者協力者および研究協力者が2名1組のペアで行うケース(10件程度を予定)から成る。前者についてはて平成30年5月に調査を行う「紙芝居劇団むすび」(大阪市)と10月に調査を行う「多可町やくざ芝居」(兵庫県)が決定している。後者は研究参加者の協議により随時決定されるが、調査対象は主として上に示した方向性に基づいて行われる。平成30年度は特に、伝統的なコミュニティー・シアターが独自に、または行政との関係の中で、独自の美的世界を作り上げている事例について調査を行い、研究グループの地域演劇に関する知識を補強する必要があると考えている。そのために外部講師を招いて、高校演劇を含めた伝統的なコミュニティー・シアターについて講演してもらうことを予定している。 さらに平成30年度は研究グループから2名が7月にベオグラード(セルビア)で開催される国際演劇学会に参加し、研究成果を国際的に発信する予定である。
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