研究課題/領域番号 |
17H02311
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
佐藤 悟 実践女子大学, 文学部, 教授 (50178729)
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研究分担者 |
服部 仁 同朋大学, 文学部, 教授(移行) (20103153)
上野 英子 実践女子大学, 文学部, 教授 (60205573)
松原 哲子 実践女子大学, 研究推進機構, 研究員 (70796391)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 挿絵 / 草双紙 / 絵本 / 合巻 / 読本 / 名所図会 / 歌舞伎 / 版元 |
研究実績の概要 |
2017年に開催予定であった第11回絵入本ワークショップは、準備の都合で2018年12月15日・16日に延期されたが、韓国日語日文学会と共催で開催した。日本国内からは50人超の研究者がソウルに集まり、200人以上が参加した。研究発表は全部で20を数え、その詳細については2017年度の研究実績の概要に記した。 その準備のため、渡韓して、韓国側研究者との協議を重ね、絵入本ワークショップの方向性を決定した。韓国日語日文学会との共同研究の実を重ねるため、韓国日語日文学会の全体会では、延廣眞治東京大学名誉教授と研究代表者である佐藤悟が基調講演を行った。延廣の基調講演は絵画と文学の研究の重要性と可能性の指摘を、佐藤は草双紙史研究におけるソウル大学校所蔵資料の重要性についての指摘を行った。また研究分担者である松原は赤本についての重要な発表を行い、高い評価を得た。研究分担者、連携研究者は座長、司会、指定討論者(韓国の学会の習慣)等を務め、全体の討議にも参加した。 韓国ソウル大学校所蔵草双紙の調査の結果として、山東京伝『万福長者栄譚』合巻体裁本の研究や、開帳その他社会現象と関わる草双紙の研究が進んだ。さらに絵入本ワークショップ終了後も、明知大学校と共同研究の交渉を行い、枠組みがほぼできた。ソウル大学校所蔵草双紙の調査も継続中である。 フランスにおいては国立図書館、ギメ美術館図書館等に所蔵される葛飾派の絵本を中心に調査を進めた。その結果、北斎派絵本の名古屋における活動について新たな知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画の最重要課題であった絵入本ワークショップは韓国での開催であったにもかかわらず、日本から50名以上の参加者があり、韓国側の参加者も含めれば200人を超える参加者数となった。また発表に関しても20名が発表するという想定外の事態があったが、韓国側の研究協力者である崔京国氏らのご尽力により、全員が発表することができた。。研究代表者、研究分担者、連携研究者が発表、座長、討論、司会等を務め、活発な意見交換が行われた。関係者以外からの発表者、参加者も多く、その中に大学院生が含まれていたことが特筆される。絵入本ワークショップが研究成果の検証、若手研究者の孵化器としての役割を果たしていることが再確認された。 研究も進展を遂げ、研究代表者は成果を学会発表等で問うている。また研究分担者、連携研究者の発表も順調である。 問題点は研究会がなかなか機能しないことである。その原因として考えられるのが、研究会のメンバーが学会発表等で忙しかったこと、学位論文を申請、もしくは申請中の為、なかなか研究会が開催されなかったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
近世小説の作者と画工と書肆の関係の重要性は浜田啓介らによってつとに指摘されているが、周辺資料の発掘、文献批判等によって、その研究をさらに進展させるべきである。 研究会を開催し、研究上の問題点を洗い出すことにより、研究のさらなる推進をはかる。今年度は絵入本の研究から見えてきた草双紙史の問題点を追及することにより、挿絵と本文の問題について新たな研究視点を得られそうな予想が立てられる。 絵入本ワークショップが研究成果の検証、若手研究者の孵化器としての役割を果たしていることが再確認されているので、第12回絵入本ワークショップを2019年9月に大阪大学で開催すべく準備が進んでいる。 また近世と近代を断絶したものとしてではなく、連続しているものと捉え、近代の同様の問題についても、さらなる研究者の参加を求めて検討を続けていく予定である。その際には出版システムの検討が必要となろう。
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