研究課題/領域番号 |
17H02324
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 将久 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (00298043)
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研究分担者 |
林 少陽 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20376578)
石井 剛 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40409529)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中国文学 / 中国哲学 / 80年代文化 |
研究実績の概要 |
本研究は、一九八〇年代中国の思想と文化について、とくに青年たちが、時代の転換期にあたって、いかにして思想形成をとげたかを問い直し、一九八〇年代中国を歴史的に位置づけるものである。特徴として中国キャンパス文化の解明に主眼を置いている。 平成30年度の活動は二つの面に分けられる。第一に資料の収集を進めた。平成29年度までに重要性が分かっていた『這一代』、『青年論壇』のほか、当時の青年文化を代表する雑誌である『文化:中国与世界』、『走向未来』、『新啓蒙』の各雑誌を収集できた。いずれも当時の文化を研究する上で基礎となる貴重な資料である。 第二に当時の関係者を招聘して公開の研究会を開催した。平成30年11月4日には北京大学陳平原教授、夏暁虹教授を招いて公開講演会を開催した。陳教授は「遥かなる八〇年代」と題して、夏教授は「北京大学留学生宿舎での共同生活の思い出」と題してそれぞれ講演を行った。さらに平成31年1月25日には華東師範大学許紀霖教授を招いて「1980年代中国大学キャンパスの雰囲気と心理の変遷」と題して講演会を開いた。また平成31年3月17日には非公開にて中国現代文学館劉慧英研究員、中国社会科学院陳燕谷研究員を招いて議論をした。いずれも当時の貴重な話を聞くことができ、そこから議論を広げることができた。 公開研究会には中国文化に関心を持つ多くの研究者が集まり、活発な議論を交わすことができた。この問題への関心の高さが了解できたと同時に、新たな問題を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、重要な資料を収集し、当時のキャンパス文化を体験した人の話を聞くことができた。研究会は期待以上に大きな反響を呼び、この研究テーマが 広がりを持つことが確認できた。ただし資料はさらに莫大な量があり、全体を収集するには時間がかかることが分かった。今後は資料の読解を並行的に進める。
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今後の研究の推進方策 |
今後は資料の収集を続行しつつも、重点を資料の整理と研究の推進におく。 資料の収集としては、平成30年度までに集められなかった重要な資料を引きつづき収集する。これまでの活動によって、当時の青年がキャンパスで発行していた雑誌の存在と重要性を確認することができたが、いずれも断片的に残されているに過ぎず、全体像をつかむためには、さらに資料を収集する必要があることが明らかになった。引きつづき中国大陸の研究者と協力しながら、資料の収集につとめる。 同時に収集した資料の整理を進める。今年度中に集めた雑誌の目録を整理して、今後の研究の基礎となる資料集を作成する。 また引きつづき、当時の大学生活を経験した中国国内の研究者を招聘し、対外的に公開する研究会を開催する。本年度は南京大学の研究者などを招聘する。さらに、八〇年代文化を広い視野から読み直す国際シンポジウムを開催する。他の研究グループと協力して、中国の五四運動百周年を記念するシンポジウムを開催し、その中で中国八〇年代文化の特質を歴史的に位置づける。
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