研究課題
AI、バイオテクノロジーといった先端科学の著しい進歩をしり目に、人類はいま、地球レベル(環境破壊、テロリズム)から個人レベル(ひきこもり、家庭内暴力)にいたるまで種々の危機に晒されており、今日の時代ほど、人間とは何か、という問いへの回答を切実に求められている時代はない。20世紀以降の人類が直面したこれらの危機を、19世紀のロシアに生きたフョードル・ドストエフスキーは、どのような予見的な直感によって見通していたか。また、その危機意識は、世界の表象文化にどのような具現化(小説、演劇、映画、美術)を見たのか。このような問題意識のもとに展開された本事業の最終年度は、その総仕上げの意味を含めて、現代ロシアを代表する研究者の一人パーヴェル・フォーキン氏を招聘し、国際ワークショップ、国際シンポジウムを、それぞれ東京、名古屋にて行った。議論の主な対象は、『カラマーゾフの兄弟』である。それらの成果の一部は、雑誌『思想』(2020年6月号、岩波書店)に発表された。研究実績の概要は以下の通り。1)国際ワークショップ「『カラマーゾフの兄弟』の世界性」(2020年2月20日、東京堂ホール)。報告:亀山郁夫「ドストエフスキーと金」、パーヴェル・フォーキン「《信仰の象徴》としての『カラマーゾフの兄弟』」及び越野剛「シンボルとしての言葉」(コメント)。2)国際シンポジウム「ドストエフスキーの世界性」(2020年2月22日、名古屋外国語大学)。報告:フォーキン「同上」、望月哲男「聖と俗・未来の図像」、番場俊「象徴から問いへ」、亀山郁夫「『大審問官』の作者はだれか」他。3)また本科研代表者である亀山は、海外調査(2018年~2019年)の成果を「物語の二つの《現場》」と題するセミナー(2019年4月~2020年1月、全9回、神保町ブックセンター)にて発表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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『すばる』
巻: 第42巻第1号 ページ: 266-277
巻: 第42巻第2号 ページ: 248-259
巻: 第42巻第3号 ページ: 224-236
巻: 第41巻第10号 ページ: 194-212
巻: 第41巻第11号 ページ: 166-176
巻: 第41巻第12号 ページ: 180-190