研究課題/領域番号 |
17H02331
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
峰岸 真琴 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20183965)
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研究分担者 |
長屋 尚典 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (20625727)
鈴木 玲子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (40282777)
降幡 正志 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (40323729)
上田 広美 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60292992)
岡野 賢二 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60376829)
ホワン ヒョンギョン 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (80704858)
高橋 康徳 神戸大学, 大学教育推進機構, 講師 (90709320)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 東南アジア諸言語 / 情報構造 / 音声分析 / 形態統語論 |
研究実績の概要 |
研究第2年度は,初年度来入手した談話の情報構造や主題と結束性の研究に関する個別言語および通言語的研究の文献の検討を行いつつ,情報構造に関する共通の調査票を充実させた。 またタイ語,タガログ語,ラオ語,カンボジア語について自然会話,録音・録画の文字起こしによる話し言葉コーパスの整備を進めた。さらにコーパスとともに対面調査で得られた資料の分析を行った。カンボジア語では書き下ろしエッセイを基にした書き言葉コーパスの作成と分析も行っている。 情報構造を表現するための手段としては,文末助詞,文中の接続詞(リンカー),主題マーカーなど機能辞のほか,主題化,倒置,焦点化などの統語的操作に加え,ピッチパターン,イントネーションが挙げられる。このうちどのような手段を主に用いるかには,言語の特性に応じて,また地域によって傾向が認められた。 本研究が対象とする東南アジア地域のうち,島嶼部は機能辞や音声現象が,大陸部は主題化,焦点化などの統語現象が共通の調査項目となる。また文末助詞の使い分けは両地域に共通する。そこで,タガログ語とベトナム語では音声と文末助詞を,インドネシア語,スンダ語では音声と主題マーカーを,ラオ語では主題化のうち時に関する分析を,タイ語およびカンボジア語語では主題化と焦点化を中心に分析を行った。 このほか,音声分析班では,複数のピッチ曲線の全体的な推移を直接比較できるSmoothing-Spline ANOVA に関する基礎研究を進めた。タイ語では初年度に計画したテレビ番組のコーパス化について制作局の許諾を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は研究開始の第2年度にあたるため,昨年度来購入した参考図書の内容を精査し,試作した共通の調査票の充実に努めた。 同調査法を用いての調査の共通テーマは,情報構造に関わる形態統語現象および音声現象である。昨年度までに収集した個別言語のデータ分析結果を出発点として,共通の調査票の試作と充実を図った。 データの充実を図るため,個別の言語について,会話録音および小説,物語などの書き言葉の文字化によりコーパス作成を引き続いて進め,コーパスデータを用いての予備的な分析を行った。 これらの研究は,代表者,分担者が国内における研究に加え,海外での調査によって行ったが,調査の実施の際も特段の障害はなかった。 タイ語のテレビ番組のコーパス化については,前年度に引き続いての交渉の結果,無事に制作局の許諾を得ることができた。 このように年度当初に計画をした項目すべてにわたり,順調な研究の伸展が見られたため,おおむね順調と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も,研究の順調な伸展が見込まれるので,当初計画通りに研究を推進する予定である。 ただし,東南アジア地域に時折見られる政治情勢の変化によっては,海外の共同研究者との間の組織的な共同研究体制に乱れが生じる可能性がないわけではない。 その場合でも,現地でのデータの蓄積があれば,海外から共同研究者を招へいして日本で研究を進めることも可能である。 そのため,これまでの共同研究の実績による海外との連絡をいっそう密にして研究を推進することを心がけたい。
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