研究課題/領域番号 |
17H02333
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
田窪 行則 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 所長 (10154957)
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研究分担者 |
山田 真寛 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変異研究領域, 准教授 (10734626)
長屋 尚典 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (20625727)
千田 俊太郎 京都大学, 文学研究科, 准教授 (90464213)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 空間指示枠 / 絶対的指示枠 / 相対的指示枠 / ジェスチャー / 固定指示枠 / 言語的実験 / 非言語的実験 |
研究実績の概要 |
[概要]平成30年度は以下の実験を行い、結果の一部を国際学会に投稿した。Nunez氏が新しい実験方法を考案し、共同研究者のCelik氏と宮古島、石垣島その有効性を確かめたため、全員でその実験方法習得のワークショップを行った(Nunez, 田窪、Celik,長屋、山田、山本(分担者千田代理)。一昨年度ハワイ大で行われた第26回Japanese/Korean Linguistic Conferenceの原稿をproceedingsに投稿した(掲載決定済み)。石垣の実験の結果と東京でのコントロール実験の結果をまとめてカナダで行われる認知科学の国際学会(The 41st Annual Meeting of the Cognitive Science Society)に投稿した。合わせて以下の実験を行った。 [コントロール実験] 平成29年度末に石垣島で行った実験(白保)に対して、東京で東京方言話者15人に対して、実験を行った。主としてジェスチャーを使った実験であり、この実験が空間指示枠の相対・絶対を確かめるのに有効であることを確認した。結果は東京方言話者では空間指示枠は統計的に優位に相対的であることを確認した(Celik,田窪,中川) [本土の東京以外の地域での予備実験] 淡路島と高知市でジェスチャーを使った実験を行った。淡路島では空間指示枠は相対的であることが確かめられた。高知市でジェスチャーを使った実験を行った。高知市では若年層では相対的、高齢層では絶対的であった(Nunez, Celik,山本)。 [インドネシア、パプアニューギニアで実験]2018年9月にインドネシア共和国フローレス島でラマホロット語の現地調査を行い、実験の準備をおこなうとともに、空間表現について調査を行った(長屋)。2019年3月に現地調査を行い、ドム語話者を対象にして空間認識・空間表現産出に関する実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験はほぼ計画通りに進行しており、本土方言の山間部の地域における絶対指示枠の可能性の検討を残すのみである。研究発表に関しても国際学会への投稿を行い、29年度の発表のプロシーディングスへの投稿も終えている。新しいジェスチャー実験の有効性も確かめられた。固定指示枠を持つとされるラマホロット、ドムの調査もほぼ予定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
日本本土方言の山間部での絶対指示枠の可能性の追求、ラマホロット、ドムの実験の実施と結果の分析を行う必要がある。それらの結果を踏まえて最終年度は分析と論文の執筆、査読誌への投稿を行う。日本では現在考えられているより広い地域に絶対指示枠が用いられ、それが都市化に伴って、相対指示枠に置き換えられてきた可能性がある。それを実験的に確かめることができるかを探る。
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