研究実績の概要 |
今年度はまず、英語の語根形容詞を主要部とする[X+A]型の複合形容詞が、先行研究では総合複合語形成に関わる一般原則として提案されている「第一投射の原理」に合致する形で分布しているのかどうかをBNCを用いて調査した。 前置詞句の補部を義務的、随意的に選択する形容詞のうち、conscious, dependent, familiar, free, prone, rich, senseitive, specific, worthy など一定の語彙については、非常に多くの例が見つかり、生産性が高いことがわかったが、このうち、free, specific, rich, worthyは、辞書においてハイフンつきで項目に挙がっていることからもわかるように、複合形容詞を形成する一般的規則によるものかどうか疑わしい。また、これら以外の義務的に補部を選択する形容詞については、ほとんど限定された非主要部との結合によるものであったため、「第一投射の原理」がこの型の複合形容詞には成立していない可能性もあり調査方法を再考した。その結果、Selkirk (1982)をはじめ先行研究では動詞の派生語を主要部とする総合的複合語に焦点があてられていたことに鑑みて、形容詞の派生語を主要部とする複合語、すなわち[X+ [A-Suffix]]型の複合名詞についても調査することにした。BNCでは幅広く新語を拾うことが難しいため、30年度にまで調査を延長しCOCAを使ってデータ収集した。対象としたのは、conscious/consciousness, dependent/dependence, familiar/familiarity, sensitive/sensitivity, immune/immunity, relevant/relevanceである。その調査結果と分析は由本(2019.5予定)にまとめた。
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