研究課題/領域番号 |
17H02335
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
林 範彦 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (40453146)
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研究分担者 |
田口 善久 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (10291303)
加藤 昌彦 慶應義塾大学, 言語文化研究所(三田), 教授 (30290927)
Badenoch Nathan 京都大学, 国際戦略本部, 特定准教授 (50599884)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | メコン川 / 言語接触 / チベット・ビルマ諸語 / タイ・カダイ諸語 / ミャオ・ヤオ諸語 / モン・クメール諸語 / 言語変化 / 動物相 |
研究実績の概要 |
今年度は前年度と異なり、分担者・Badenochが大学内での異動により、分担者の活動を暫時停止せざるを得ない事態となったが、概ね順調な研究活動を行った。 代表者・林は昨年度と引き続き、タイ王国ナコンパノム県にてセーク語の補充調査を行い、主として文法項目の分析を行った。 分担者・加藤は昨年度に引き続き、ミャンマー・カレン州に赴き、1. 東部ポー・カレン語の文法に関する調査(中でも中動態標識の文法的振る舞いについての調査)、2. 東部ポー・カレン語の動植物語彙の収集を行った。分担者・田口は貴州省民族研究所研究員とミャオ語文法に関する調査と共同研究と学会発表打ち合わせを行った。さらに研究協力者の讃井(婚姻後「平野」)をベトナムに派遣し、昨年度と同様にタイ系の言語の語彙調査などを中心に現地調査を行った。海外の研究協力者であるJames Chamberlain博士は京都大学からKri-Mol諸語の動物相に関するモノグラフを出版できた。 また代表者・林と分担者・田口は年度末の3月に中国雲南省文山州にてミャオ語方言の語彙調査、およびイ語方言、黒タイ語の予備調査を合同で調査した。 年度途中の7月には研究プロジェクト外の関連研究者もまじえた研究打ち合わせと研究討論会を行い、今後の研究課題としてメコン中流域を中心とした言語の実態をさらに詳細に記述すると同時に、特に動物相の記録を進めることと、通時的には文法化現象の問題を中心に分析を進めることとした。 代表者・林と分担者・加藤は9月に行われた国際シナ・チベット言語学会議で、それぞれアカ・チチョ語とカレン語の記述研究の成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分担者・Badenochが大学内での異動により、分担者の活動を暫時停止せざるを得ない事態となったが、その前後での研究活動は非常に活発であった上に、代表者・林、分担者・加藤、分担者・田口ともにそれぞれの対象とする言語の現地調査はスムーズに行えている。また今年度はじめて林と田口による雲南省での合同調査が行えたことは当初の予定よりも進展したと言える。加えて、研究協力者の讃井(婚姻後は平野)も順調にベトナム北部でのタイ系言語の調査を進めている。海外研究協力者であるJames Chamberlain博士との連絡は頻繁に行われ、動物相の形式研究で大きな貢献をしてもらっている。
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今後の研究の推進方策 |
年度途中の7月には研究プロジェクト外の関連研究者もまじえた研究打ち合わせと研究討論会を行い、今後の研究課題としてメコン中流域を中心とした言語の実態をさらに詳細に記述すると同時に、特に動物相の記録を進めることと、通時的には文法化現象の問題を中心に分析を進めることとした。 次年度も各人の現地調査を引き続き行い、動物相・文法化の記述と分析を進めると同時に、本科研関係の論集の作成とワークショップの開催を行う予定である。
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