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2018 年度 実績報告書

外国人労働者の定着と協働を目指す受け入れ環境の構築

研究課題

研究課題/領域番号 17H02354
研究機関麗澤大学

研究代表者

近藤 彩  麗澤大学, 外国語学部, 教授 (90377135)

研究分担者 池田 玲子  鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 教授 (70313393)
舘岡 洋子  早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (10338759)
金 孝卿  早稲田大学, 日本語教育研究センター, 准教授(任期付) (30467063)
宇佐美 洋  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40293245)
神村 初美  東京福祉大学, 教育学部, 准教授 (80764654)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードビジネスコミュニケーション / 外国人労働者 / ケース学習 / 協働 / 相互理解
研究実績の概要

2018年12月に改正入管法(出入国管理法改正)が成立し、外国人労働者の受け入れは国家戦略として急速に進められている。本研究は、外国人労働者の中でも高度人材(日本語人材)と受け入れ側(日本企業、日本語母語話者)を主な対象とし、「実態調査」「教材作成」「教育・研修」を結びつけた学際的な研究を目指している。
2年目である平成30年度の研究業績の概要は次のとおりである。(1)日本国内のサービス業、特に人材派遣業で働く日本人社員と外国人社員に対する研修プログラムを継続して実施した。本年は「新人研修プログラム」として1年間、協働を土台とした企業の受け入れ環境を改善することを目的とした研修であった。また、異業種に勤務する外国人日本語人材を対象としたケース学習型研修を実施した。(2)海外は、フランス、中国等を訪問し、日本語人材や日本人駐在員に対しインタビュー調査を行った。収集したデータは内容分析等を行い、ケース教材を作成している。(3)フランスの経営大学院で、MBAの教員及び大学院生に対し、これまでの研究成果と、ケース学習の理論や企業研修プログラムの立案について講演を行った。日本語教師に対してはケース教材作成法を中心とした研修を行い、教師に求められる能力についても検討を進めた。送り出し国であるインドネシアではシンポジウムを企画し、研究成果を発信するとともに現地の教員に対し研修を行った。
上記の成果は、職場の環境整備、協働学習、プログラム開発の観点から論文、図書、学会発表、招聘講演を通じて国内外で公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画の目的の一つに、国内のサービス業、特に外国人の人材派遣に関して調査を行うことがあった。これについてデータを収集するとともに、研修を行い、PDCAサイクルで縦断的に検証を順調に進めている。国外の調査としてはヨーロッパの国を複数挙げていたが、予算に限りがあるため、フランスを調査対象国とした。訪問時には現地の日本語教師に対して研修を実施し、以前の研修受講者についてフォローアップ調査も行うことができた。国立大学のMBAの教員や大学院生に対しても、これまでの研究で得た知見や新たなプログラム開発について発表や研修を行ったことにより、学際的な学術交流をすることができた。さらに、インドネシアでは国際大会(シンポジウム)を企画し、200名を超える参加者(インドネシア、日本、その他の国籍)があった。研究成果の発表はもとより、貴重な学術交流を行うことができた。ビジネス日本語教育や介護・看護分野との連携を深めることができた。年間を通じて、調査、論文発表、図書の刊行、講演等を行った。共同研究者の研究(協働、参加型授業、介護他)も順調に進んでおり、全体的に一定の成果をあげたと考えている。

今後の研究の推進方策

本研究の3年目となる今年度は、次の通り研究を進める予定である。
平成30年度までに行った国内外の調査研究(企業研修を含む)を随時発信していく。例えば、人材派遣業と製造業での企業研修について、外国人労働者の定着と協働の観点から日本語教育学会において成果の一部を発表する。形式は企業関係者と日本語関係者に登壇していただくパネルセッションで、外国人を雇用する企業の取り組みと環境整備について研究から得た知見を共有し、定着に向けた議論を行う予定である。さらに、秋に国内の企業関係者と日本語教育関係者の協働によるシンポジウムを行い、調査結果を明示した上で企業の受け入れ体制の強化の必要性を述べるとともにネットワーク構築を行う。
海外(送り出し国)では、まずベトナムにおいて現地の日本語教師に対し研修を行う。主な内容はケース学習の理論に関する講義とケース学習の体験授業である。キルギスにおいても教師研修を行い、研修前後の受講者の意識の変化について質的に分析をする。韓国では、「青年の日本就職活性化のための日本語研究の新しいパラダイム」というテーマで、大学教員を主な対象とした研修を行う。大学教育において、働く上での摩擦やトラブルを教材とし、それを用いたケース学習に関する受講者の考え方や受けとめ方を明らかにする。さらに、ベトナムでは介護と看護の研究会とビジネス日本語研究会が連携をし、環境整備に関するシンポジウムを実施、送り出し国と受け入れ国(日本)双方の多様な連携が必要であることを示す予定である。
訪問国では企業を訪問しインタビュー調査を行い、トラブルや摩擦を抽出し、引き続きケース教材を作成していく。国内の企業研修においては、人材派遣業を中心に研修プログラムを開発、検証を進めていく予定である。

  • 研究成果

    (43件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (10件) (うちオープンアクセス 5件、 査読あり 2件) 学会発表 (29件) (うち国際学会 12件、 招待講演 12件) 図書 (3件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] オンラインでのケース学習における学習者の学び : 問題解決のための協働的なコミュニケーションに着目して2019

    • 著者名/発表者名
      金孝卿・山田真知子
    • 雑誌名

      多文化社会と留学生交流 : 大阪大学国際教育交流センター研究論集

      巻: 23 ページ: 43-52

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 共修クラスでのケース学習の試み ―ピア・ラーニング授業への緩やかな導入のデザイン―2019

    • 著者名/発表者名
      池田玲子(・大島いずみ)
    • 雑誌名

      鳥取大学 教育研究論集

      巻: 9 ページ: 13-29

  • [雑誌論文] 異文化協働力育成を目指す海外実践教育研修プログラムの開発 ―ケース学習を組み込んだ事前研修の試み―2019

    • 著者名/発表者名
      池田玲子(・御舘久里恵・ロクサナパラダ・福澤直子・堀場沙智)
    • 雑誌名

      鳥取大学教育研究年報

      巻: 24 ページ: 38-49

  • [雑誌論文] 母語話者にとっての〈やさしい日本語〉は学に値するものか:「生涯教育」という視点からの再考2019

    • 著者名/発表者名
      宇佐美洋
    • 雑誌名

      『〈やさしい日本語〉と多文化共生』 庵功雄 他 編

      巻: 第4章 ページ: 67-82

    • DOI

      978-4866760124

  • [雑誌論文] 介護のオノマトペ学習アプリ「おのまとコ」の開発と試行―痛みのオノマトペを中心に―2019

    • 著者名/発表者名
      神村初美(・鈴木元)
    • 雑誌名

      日本語教育方法研究会誌

      巻: Vol. 25 (2019) No. 2 ページ: 128-129

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 全学部留学生共通シラバスに基づくシャドーイング授業の検証―より効果的な授業を目指して―2019

    • 著者名/発表者名
      (岩井智重・ 石山友之・山下由美子・)神村初美
    • 雑誌名

      日本語教育方法研究会誌

      巻: Vol. 25 (2019) No. 2 ページ: 52-53

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 職場とつながるライティング教育 ―相互理解・問題解決・協働を可能にするケース学習―2018

    • 著者名/発表者名
      近藤彩
    • 雑誌名

      『大学と社会をつなぐライティング教育』 村岡貴子 他 編著

      巻: 第10章 ページ: 177-195

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effort to Promote Global Education in Japan: The case of Tottori Universiy and Oversease practical Education Programs2018

    • 著者名/発表者名
      (Roxana Y.Parada,)Reiko Ikeda(,Takayuki Ando, Masako Hishida, Hiroshi Takeda, Dagnachew Akilog, Kurie Otachi, Kumi Yasunobu)
    • 雑誌名

      Journal of Education and Learning

      巻: 7 ページ: 62-75

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 元留学生社会人交流会「サロン・デ・ゼクスパット」におけるケース学習の実践―企業と大学の協働による学びの場の構築に向けて-2018

    • 著者名/発表者名
      金孝卿
    • 雑誌名

      多文化社会と留学生交流 大阪大学国際教育交流センター研究論集

      巻: 22 ページ: 57-65

    • DOI

      info:doi/10.18910/67907

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 外国人材との円滑なコミュニケーションを考える―オノマトペの視点から―2018

    • 著者名/発表者名
      神村初美
    • 雑誌名

      月刊地域ケアリング

      巻: 7月臨時増刊号 ページ: 120-121

  • [学会発表] 日本語学習者が職場で活躍するには:問題発見・解決という観点から2019

    • 著者名/発表者名
      近藤彩
    • 学会等名
      成都中医薬大学 日本語教育公開講座
    • 招待講演
  • [学会発表] 日本語教育の協働学習(ピア・ラーニング)理論の理解と授業デザインのために2019

    • 著者名/発表者名
      池田玲子
    • 学会等名
      成都中医薬大学 日本語教育公開講座
    • 招待講演
  • [学会発表] 日本語学習者が職場で活躍するには2019

    • 著者名/発表者名
      近藤彩
    • 学会等名
      西南民族大学 日本語教育公開講座
    • 招待講演
  • [学会発表] 日本語教育の協働学習(ピア・ラーニング)理論の理解と授業デザインのために2019

    • 著者名/発表者名
      池田玲子
    • 学会等名
      西南民族大学 日本語教育公開講座
    • 招待講演
  • [学会発表] 教室で読むこと―中級に向けての自律学習2019

    • 著者名/発表者名
      舘岡洋子
    • 学会等名
      第24回メキシコ日本語教育シンポジウム
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 協働のプロセスの中から発見する自分:大学における、「自ら考える力」を育成する授業実践から2019

    • 著者名/発表者名
      宇佐美洋
    • 学会等名
      東洋大学経営学部FD研修会
  • [学会発表] 「演じること」への参加はどのような学びをもたらすか:「フォーラム・シアター」参加者の語りから2019

    • 著者名/発表者名
      宇佐美洋(・文野峯子・森本郁代・岡本能里子・栁田直美)
    • 学会等名
      言語文化教育研究学会 第5回年次大会
  • [学会発表] 参加者にとって「よい話し合い」とは?:話し合いにおける「参加感」と「参加行為」の関係2019

    • 著者名/発表者名
      (中村香苗・)宇佐美洋(・嶋津百代)
    • 学会等名
      第43回社会言語科学会研究大会
  • [学会発表] 介護の敬語とオノマトペの使い方2019

    • 著者名/発表者名
      神村初美
    • 学会等名
      国際厚生事業団 平成30年度EPA介護福祉士 スキルアップ研修(東京・名古屋・大阪)
  • [学会発表] 医療福祉人材のための日本語教育―介護のオノマトペとタメ語を中心に―2019

    • 著者名/発表者名
      神村初美
    • 学会等名
      平成30年度 国立国語研究所日本語教師セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 外国人介護職のための日本語研修プログラム課題ワークショップ介護の日本語をどう教える1」「介護の日本語をどう教える1」2019

    • 著者名/発表者名
      神村初美
    • 学会等名
      外国人就労者の指導担当者講座(入門)(早稲田速記専門学校)
  • [学会発表] 外国人労働者の活躍と日本語教育の役割2018

    • 著者名/発表者名
      近藤彩
    • 学会等名
      第33回日本言語文化研究会 研究発表会
    • 招待講演
  • [学会発表] ビジネスの事例をもとに職場の問題解決プロセスを体験する(ビジネス日本語教育の教師・ビジネス関係者向けワークショップ)2018

    • 著者名/発表者名
      近藤彩・金孝卿
    • 学会等名
      アジアと日本における外国人材の雇用と定着を考える インドネシア人の労働と定着促進のための連携・教育研究会 in Bandung
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 日本語人材の雇用の際に役立つ基礎知識2018

    • 著者名/発表者名
      近藤彩(・品田潤子・倉本文子)
    • 学会等名
      アジアと日本における外国人材の雇用と定着を考える インドネシア人の労働と定着促進のための連携・教育研究会 in Bandung
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ピアラーニングによるケース学習の可能性2018

    • 著者名/発表者名
      池田玲子・近藤彩・金孝卿・神村初美
    • 学会等名
      アジアと日本における外国人材の雇用と定着を考える インドネシア人の労働と定着促進のための連携・教育研究会 in Bandung
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 医療・介護分野で来日した外国人労働者の定着に関する考察 -EPAにより移住したインドネシア人資格取得者の調査報告2018

    • 著者名/発表者名
      (ジュリタ ファルルロキム・)池田玲子
    • 学会等名
      アジアと日本における外国人材の雇用と定着を考える インドネシア人の労働と定着促進のための連携・教育研究会 in Bandung
    • 国際学会
  • [学会発表] 介護の事例をもとに職場の問題解決プロセスを体験する2018

    • 著者名/発表者名
      池田玲子・神村初美
    • 学会等名
      アジアと日本における外国人材の雇用と定着を考える インドネシア人の労働と定着促進のための連携・教育研究会 in Bandung
    • 国際学会
  • [学会発表] Case-based Approach For Mutual Understanding: Toward Collaboration in Business2018

    • 著者名/発表者名
      Aya Kondoh
    • 学会等名
      国立レンヌ第一大学経営学院(日仏経営センター)主催 特別研修会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 協働で学ぶケース学習 ―体験からケースライティング、そして実践へ―2018

    • 著者名/発表者名
      近藤彩・池田玲子
    • 学会等名
      国立レンヌ第一大学経営学院(日仏経営センター)主催 特別研修会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ピア・ラーニング入門講座2018

    • 著者名/発表者名
      池田玲子
    • 学会等名
      第14回協働実践研究会
  • [学会発表] 省察的実践家3.02018

    • 著者名/発表者名
      舘岡洋子
    • 学会等名
      言語文化教育研究学会
  • [学会発表] 日本語教師の仕事を考える2018

    • 著者名/発表者名
      舘岡洋子
    • 学会等名
      タイ国日本語教育研究会
    • 国際学会
  • [学会発表] 留学生のキャリア支援を行う日本語教育人材に求められる資質・能力2018

    • 著者名/発表者名
      金孝卿
    • 学会等名
      2018年度日本語教育学会秋季大会パネルセッション
  • [学会発表] 外国人と日本人が双方向的に学ぶ日本語ビジネスコミュニケーション学習の提案(ポスター発表)2018

    • 著者名/発表者名
      (小林北洋・)金孝卿
    • 学会等名
      インドネシア人の労働と定着促進のための連携・教育研究会in Bandung・アジアと日本における外国人材の雇用と定着を考える
    • 国際学会
  • [学会発表] ビジネス日本語教育を実践するための学習デザイン2018

    • 著者名/発表者名
      金孝卿(・山田真知子・多田苗美)
    • 学会等名
      インドネシア人の労働と定着促進のための連携・教育研究会in Bandung・アジアと日本における外国人材の雇用と定着を考える
    • 国際学会
  • [学会発表] 「生活者としての外国人」への言語教育に携わる人材とはどうあるべきか―その人物像・育成方法について再考する2018

    • 著者名/発表者名
      (足立祐子・松岡洋子・安場淳・西口光一・)宇佐美洋
    • 学会等名
      2018年度日本語教育学会春季大会
  • [学会発表] 日本語教師の成長を促す「方法」について考える-3つのアプローチから-2018

    • 著者名/発表者名
      (浜田麻里・金田智子・)宇佐美洋(・齋藤ひろみ)
    • 学会等名
      ヴェネツィア2018年日本語教育国際研究大会
  • [学会発表] 「日本人の評価」は学習の規範となり得るか―母語話者の価値観の多様性に着目する―2018

    • 著者名/発表者名
      宇佐美洋
    • 学会等名
      ハノイ大学第3回国際シンポジウム「グローバル化時代における日本語教育と日本研究」
  • [学会発表] 外国人介護人材に対する日本語教育と職場適応の現状と課題2018

    • 著者名/発表者名
      (小原寿美・西郡仁朗・古川嘉子・)神村初美(・平井辰也)
    • 学会等名
      アジアと日本における外国人材の雇用と定着を考える インドネシア人の労働と定着促進のための連携・教育研究会 in Bandung
    • 国際学会
  • [図書] 介護の世界のことばづかい―利用者の思いにどう応えるか2019

    • 著者名/発表者名
      (遠藤織枝・三枝令子・)神村初美
    • 総ページ数
      130
    • 出版者
      大修館書店
  • [図書] 課題達成のプロセスで学ぶビジネスコミュニケーション〈改訂新版〉2018

    • 著者名/発表者名
      近藤彩(・品田潤子・)金孝卿(・内海美也子)
    • 総ページ数
      110
    • 出版者
      ココ出版
    • ISBN
      978-4866760018
  • [図書] 街に出る劇場―社会的包摂活動としての演劇と教育(石黒広昭編著) 分担章:私が私に向かう自己表現活動―タイにおける複言語・複文化ワークショップ91-1042018

    • 著者名/発表者名
      (深澤伸子・)舘岡洋子
    • 総ページ数
      232
    • 出版者
      新曜社
    • ISBN
      978-4788515888
  • [学会・シンポジウム開催] アジアと日本における外国人材の雇用と定着を考える インドネシア人の労働と定着促進のための連携・教育研究会 in Bandung2018

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公開日: 2019-12-27  

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