研究課題/領域番号 |
17H02358
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
白畑 知彦 静岡大学, 教育学部, 教授 (50206299)
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研究分担者 |
小川 睦美 日本大学, 商学部, 講師 (40733796)
横田 秀樹 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (50440590)
須田 孝司 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (60390390)
近藤 隆子 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教 (60448701)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 英語指導法 / 英語能格動詞 / 名詞句の有生性 / 指示表現 / 文処理 / 明示的指導 |
研究実績の概要 |
本研究目的である、「効果的な英語指導法の開発」を目指し、まず、英語能格動詞の用法の習得に明示的文法指導がどの程度効果的に働くかについて、日本語を母語とする英語学習者(大学生)を対象に縦断的手法を用いて実験を行った。その結果、実験直後のみならず、数週間後にも効果が持続されていることが判明し、本研究で採用した明示的指導法は有効な方法であることが支持できた。 さらに、初級・中級レベルの日本人英語学習者を実験対象者として、彼らの文処理過程における言語情報の影響について実験を行った。同様に、日本人英語学習者による指示表現と有生性の関連性について、代名詞と名詞句の選択がどのように行われるのかについても実験を行った。どちらの実験結果も、文法を明示的に教えることが大学生の英語学習者にはプラスに働くことが判明した。ただし、どの程度の期間効果が持続し続けるのかは今後の課題となった。 次に行ったものが、主語名詞句の有生性、無生性の相違が第二言語習得に与える影響についてである。結論的には、非対格動詞における過剰受動化を引き起こす原因には、主語の無生性が大きく影響を与えているのではないかという仮説を提示するに至った。この仮説は、これまで誰も唱えなかった新しい主張である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者は、研究分担者と年数回のミーティングをおこなった。研究に対する意思疎通が上手くいったと思っている。当初の予定通り、各研究者が自分の研究割り当てを認識し、積極的に研究に取り組み、その成果を書籍、ジャーナルへの論文掲載、国内外の主要な学会での口頭発表などで発表したため、研究はほぼ研究計画通りに進んでいると言ってよいだろう。
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今後の研究の推進方策 |
本研究目的は、第二言語習得の研究成果に基づいた外国語としての英語の効果的な教え方の開発である。したがって、第二言語習得理論、言語理論の研究をおろそかにしないために、理論研究のためのミーティングをこれからも続けていく。さらに、我々の研究は実証研究であり、実験的手法が伴うため、相当数の実験参加者が必要となるため、メンバーで互いに助け合い、今後も実験を遂行する。2年目は、1年目にはおこなわなかった、または時間的におこなえなかった言語習得項目を取り上げ、実験を行っていく。すなわち、主語名詞句の有生性の影響に関して、1年目は「主語名詞句が有生名詞句である方が過剰受動化が起こりにくい」という結論を出すまでで終了してしまったが、2年目は、有生名詞句を人間と動物に分け、習得に差が生じるかどうか調べる。さらに、主語となる無生名詞句も4つに下位区分(抽象名詞句、物質名詞句など)し、そのために習得上、有意な差が生じるのかどうか調査する。
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