研究実績の概要 |
【背景と目的】日本人英語学習者の最大の課題は発話力の絶対的不足である(石川, 2016)。L2発話力は独話力と対話力に区分できるが,従来の研究は独話の分析に偏りがちで,大規模なコーパスデータに基づく国際比較の観点からの日本人学習者の対話力分析は事実上存在しない。そこで本研究では,日本を含むアジア圏10か国及び英語圏において,同一トピックに基づく学習者・母語話者の自然対話を体系的に収集し,世界最大のアジア圏学習者自然対話コーパスICNALE Spoken Dialogueを開発し,分析を実施する。
【2019年度実績】2019年度は,コーパス最終版公開と収集データ言語分析を目標として,(1)海外データ追加収集,(2)検索インタフェース確定,(3)語彙・統語使用分析・論文執筆,(4)国際シンポ実施,(5)データの著作権処理・タグ付け(品詞+会話方略)と公開,他の作業を行った。
【2019年度成果】ICNALE Spoken Dialogueでは,最終的に,アジア圏10か国・地域の学習者および英語母語話者含めて総勢425人の参加者からインタビュー発話(1本40-50分)425本を収集することができた。分量は160万語となり,世界最大の学習者対話コーパスの一つとなった。収集したデータについては,ビデオ,トランスクリプト(タグ付け処理済み)の両方が公開された。公開手段は,ICNALE Onlineシステムと,Downloadバージョンの2種である。このほか,2019年度においては,英国ランカスター大学Tony McEnery教授との共催の下,学習者コーパス国際シンポジウムLCSAW2019 Conferenceを開催した。また,ICNALE Spoken Dialogueのデータを用いた論文を複数執筆し,韓国英語教育学会(KATE)ジャーナル他に掲載された。
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