研究実績の概要 |
最終年度となる2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大のために国際会議の開催や参加が不可能となったが、翌2021年5月にオンラインで開催された65th International Conference of Eastern Studiesにおいて、パネル・シンポジウム“Armenian Communities and Their Global Network from the Seventeenth to the Early Twentieth Centuries”を企画した。同パネルでは、代表者の守川知子、分担者・研究協力者の秋山晋吾・上野雅由樹・島田竜登・吉村貴之の各氏、およびKristine Kostikyan氏(マテナダラン国立文書館)が報告し、ユーラシア各地に張り巡らされたアルメニア人の商業ネットワークとコミュニティの実態を検討した(同シンポジウムの議事録は『国際東方学者会議紀要』65、2021年に掲載)。 また、本共同研究の集大成として、英文雑誌Acta Asiatica (Vol. 123, 2022)にて、特集“Armenian Merchants and Their Communities in Early Modern Eurasia”を組み、AKIYAMA Shingo, Kristine Kostikyan, MORIKAWA Tomoko, SHIMADA Ryuto, OKUBO Shoheiが、それぞれトランシルヴァニア、アルメニア、イラン、ベンガル湾、ジャワ島での近世期のアルメニア人商人の活動について様々な史料を用いて論じた。同特集号は、アルメニア人が、各地で、アルメニア人の民族的紐帯のみならず、地元の人々や他の民族や会社が構築した商業・交易ネットワークを利用し、互いに協力関係を構築しながらグローバルに活動したことを明らかにした。 なお、2023年度中に、国内向けの研究成果として日本語の論文集を刊行する予定である。
|