研究課題
本研究課題は、地中海型奴隷制度の概念を中心に、その実態と、歴史学概念としての有効性を検証しつつ、世界史上における多様な奴隷制度・隷属制度の比較研究を行うものである。この目的に照らして、最終年度(令和元年度)においては、当初の設定に従って中世イスラーム社会、ポルトガル海洋帝国、アフリカ・インド洋海域、ブラジル、アメリカにおける奴隷制度・隷属制度について、3年間を通じて明らかになった地中海的奴隷制度の概念・実態と、それらの影響の強い地域、弱い地域における隷属の様々な形態に関する知見を総合し、本研究課題の目的である、世界史上における奴隷制度・隷属制度に関する独自の比較史的議論の深化に努めた。これら一環として特に本年度は、平成30年12月から翌1月にかけて、ガーナ共和国、セネガル共和国、ガンビア共和国において行ったアフリカ西海岸国際調査を受けて、その成果を検証するとともに、その研究を発展させ、なぜ近代・現代における奴隷解放が短期間の内にすすみ、奴隷制度が、少なくとも制度としては消えていったのかという問題を共有し検討を行った。さらにブラジルとガーナの間の黒人奴隷の往還運動に着目し「負の遺産としての奴隷制度」が独自の展開みせつつ経済効果を生む状況を検討した。そして以上の成果を念頭においた、新たな発展的プロジェクトを構想し、基盤研究(A)「「奴隷」と隷属の世界史-地中海型奴隷制度論を中心として-」として応募し、採択された。これらの研究によって本課題研究においては、研究者間において奴隷制と隷属に関わる問題意識を共有し、その論点の整理を行うなど、国際的な奴隷・隷属民研究をすすめ、その成果は、国内外の学術雑誌その他に論文および著作として発表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件) 図書 (3件)
国立民族学博物館研究報告
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