研究課題/領域番号 |
17H02388
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
七海 雅人 東北学院大学, 文学部, 教授 (00405888)
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研究分担者 |
石川 日出志 明治大学, 文学部, 専任教授 (40159702)
蝦名 裕一 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (70585869)
佐藤 信 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80132744)
平川 新 宮城学院女子大学, 一般教育部, 学長 (90142900)
平川 南 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構本部, 大学共同利用機関等の部局等, 理事 (90156654)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 東北太平洋沿岸地域 / 古代貝塚 / 古代集落 / 板碑 / 中世城館 / 資料レスキュー / 震災復興 |
研究実績の概要 |
本科研は、東日本大震災で被災した東北地方三陸沿岸部及び周辺地域に関する歴史学・考古学研究の蓄積を整理し、学術的な再検討と総合的な考察を行うことにより、地域の復興と創生に資することを目的とする。2017年度における共同研究では、次のような研究実績・成果を得た。 ①【考古学分野】a)「古代集落データベース」の作成:北海道・青森県東部・岩手県・宮城県の竪穴住居跡に関する11,310棟のデータを集成した。b)「古代貝塚関係資料データベース」の作成:青森県・岩手県・宮城県のデータ集成を完了し、北海道については続縄文時代後期から擦文・オホーツク時代までのデータを集成した。c)「中世城館データベース」の作成:データ集成に関する記入要領・凡例・フォーマットを検討し、青森県・岩手県・宮城県のデータ収集に着手した。②【古代史分野】東北地方太平洋沿岸部の古代城柵官衙跡発掘調査のデータを収集すると共に、東北学院大学において研究集会「古代東北太平洋岸の交通と遠距離交流」を実施した。③【中世史分野】a)板碑資料の調査・集成:宮城県松島町雄島海底板碑群の調査を継続実施し、409点の板碑完形・破片を採集した。宮城県南三陸町壇の上板碑群の調査を実施した。b)中世城館の調査:宮城県利府町の利府城跡・深山館跡、松島町の大日山館跡・城内山城跡の踏査・縄張図を作成すると共に当該地域に関する歴史資料を収集した。④【近世史分野】岩手県大船渡市・陸前高田市において、東日本大震災による古文書の被災状況・所在調査を実施した。大船渡市の郷土史研究者(故人)が遺した古文書資料の記録化を行った。東日本大震災で被災した大船渡市赤崎個人宅の古文書群について、クリーニング・撮影・目録化・解読作業を進めた。⑤【研究成果の地域還元】大船渡市において市民向け研究成果報告会「歴史・考古学から気仙地域の魅力を語るⅣ」を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①【考古学分野】堀立柱建築・竪穴建物に関するデータ集成は順調に進んでいる。中世史班と協力して、三陸地域の城館・石造物を進めている。経塚遺跡の調査については未着手であった。 ②【古代史分野】東北地方太平洋沿岸部における古代地域史研究の成果整理を進め、ミニ研究集会を実施することができた。 ③【中世史分野】松島町雄島、南三陸町の板碑調査・歴史的景観の復元を行った。利府町・松島町の城館調査を進めた。多賀国府の歴史的景観の復元作業については未着手であった。 ④【近世史分野】旧気仙郡における古文書調査において、基礎的な情報である所在情報や文書群の概要について網羅的に把握することができた。 ⑤【研究成果の地域還元】2018年2月18日、大船渡市カメリアホールにおいて、市民向け報告会「歴史・考古学から気仙地域の魅力を語るⅣ」(共催:気仙歴史文化研究会、後援:大船渡市教育委員会、陸前高田市教育委員会、住田町教育委員会)を開催し、100人弱の参加を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究実績・成果をふまえて、2018年度・2019年度において以下の研究活動を展開する。 ①【考古学分野】a)「古代集落データベース」の作成:未集成の宮城県仙台市・多賀城市域を中心に作業を進め、福島県についても集成作業を開始する。b)「古代貝塚関係資料データベース」の作成:青森県に関して漁撈・鉄製釣針等漁具の集成を進め、宮城県・福島県浜通りのデータ集成を充実させる。2018年度末に地区ごとのとりまとめに基づく公開報告会を開催する。c)集落・貝塚集成作業の成果まとめ、本科研終了後の2019年度末に論集・資料集を刊行する。②【古代史分野】太平洋沿岸部における古代の港湾について、潮の干満を利用した河口から相当奥まで入り込む港湾施設を想定する必要がある。2018年度は、福島県いわき市夏井川河口、宮城県亘理町阿武隈川河口において調査検討を行う。③【中世史分野】松島町雄島板碑群の調査を完了し、中世多賀国府の景観復元作業を進める。愛宕館跡、反町館跡、館ヶ崎城跡の縄張図作成など松島町の中世城館の調査を進め、中近世移行期における松島地域の研究を進める。④【近世史分野】大船渡市所在以外の旧気仙郡関係古文書群の情報、東日本大震災における流失・被災・散逸の情報収集を進める。郷土史研究者の遺稿のデータ化を進め、東日本大震災で失われた歴史情報の復元を行い、江戸時代の気仙郡について新たな歴史像を構築する。⑤【研究成果の地域還元】2018年度、宮城県気仙沼市において市民向け報告会を実施する。2019年度、仙台市・陸前高田市において市民向け報告会を実施し、3年間の共同研究の成果をまとめる。
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