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2017 年度 実績報告書

共鳴かつ葛藤する闘争―公民権運動の相対化による1960年代の社会運動分析―

研究課題

研究課題/領域番号 17H02409
研究機関浦和大学

研究代表者

岩本 裕子  浦和大学, 人間学部, 教授 (40279592)

研究分担者 西崎 緑  島根大学, 人間科学部, 教授 (00325432)
土屋 和代  東京大学, 総合文化研究科, その他 (60555621)
佐藤 千登勢  筑波大学, 人文社会系, 教授 (70309863)
北 美幸  北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (80347674)
兼子 歩  明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (80464692)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード公民権運動 / 人種 / ジェンダー / 宗教
研究実績の概要

平成29年度の研究計画であった以下の3項目は、代表者と分担者5名の6名によって十分に遂行でき、次年度の研究につなぐことができた。
まず、5月21日に一橋大学で開催された日本西洋史学会での小シンポジウム「黒人女性の視点から再評価する公民権運動―人種、ジェンダー、階層、宗教による差別解消と正義を求める運動との有機的関連」においては、当日は他にも数多くの魅力的な小シンポが開催されたにもかかわらず、30人余りの参加者を得た。代表者による趣旨説明の後、4人の分担者の研究報告と1人のコメントを踏まえて、会場参加者との質疑応答を重ねられた。6人の間でも模索していた今後4年間における研究に、道筋を得られた有意義なシンポジウムとなった。
第2の「公民権運動と各運動について理解を深める」ことは、10月21日と3月4日の2回に渡る研究会によって達成できた。10月21日には分担者の兼子が中心となり、公民権運動史の潮流とされる論文2作を読み込んだ。加えて6人個々の研究状況、本テーマとの関連などについても話し合いを重ねた。3月4日には、川島正樹南山大学教授を講師として招き「MLK50にちなんで:メンフィス清掃労働者ストからウォール街占拠運動を経てトランピズムの彼方までも展望する試み」と題する講演をして頂き、我々の科研メンバーの研究方向にも多くの示唆を頂いた。
第3の「海外資料調査の準備を行う」ことは、6人個々に自らの研究テーマに従い、準備を進めた。代表者岩本、分担者北、分担者兼子は、今年度にも事前調査に出て次年度の準備を進めた。我々の科研費による海外資料調査は、次年度以降順番に行うこととした。以下の通りである。平成30年度は、岩本・佐藤・兼子の3名、平成31年度は西崎、北、土屋の3名を予定した。
今年度、上記のように十分な研究実績をあげることができたことで、次年度以降、今後3年間の研究計画も明確になってきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

前項「研究実績の概要」で説明した通り、当初予定していた以上の成果が得られ、計画以上に進展していると判断する。その理由を以下に列挙する。
まず、日本西洋史学会での小シンポジウム「黒人女性の視点から再評価する公民権運動―人種、ジェンダー、階層、宗教による差別解消と正義を求める運動との有機的関連」が成功し、参加者から多くの示唆を受け、向こう4年間の共同研究に道筋が見えたことを理由の1番とする。
さらに明治大学駿河台キャンパスにおいて、科研メンバーによる2回(10月21日と3月4日)の研究会を開催し、10月には個々の研究と我々の共同研究との連関を確認することができた。3月には午前中に、6人での現状報告および、次年度以降の研究計画を議論し、互いの現状を確認することができた。
同日午後には外部講師(川島正樹南山大学教授)による講演をして頂き、公民権運動をどのように捉えていくのか、議論を重ねることができた。午後の講演には、聴衆として二人外部の方々を迎えた。大橋稔城西大学准教授と別府正一郎NHK解説委員である。大橋氏は、黒人女性史を基盤として、文学と歴史の連関を研究テーマとしている新進の研究者である。また別府氏は、2018年4月4日にキング牧師暗殺50周年を迎えるため「時論公論」の番組で解説を行う予定とのことで、別府氏の希望で参加なさった。この研究会から1か月後の4月3日の「時論公論」では、別府氏によってキング牧師暗殺50周年目に、現在のアメリカ合衆国の現状を読み解くという内容の解説がなされていた。
「海外資料調査の準備を行う」ことは、6人個々に自らの研究テーマに従い、準備を進めている。我々の科研費による海外資料調査は、10月の研究会時点で、次年度以降順番に行うことを決定し、その順番は以下の通りである。平成30年度は、岩本・佐藤・兼子の3名、平成31年度は西崎、北、土屋の3名と決めた。

今後の研究の推進方策

当初の計画以上に進展している現状を踏まえて、今後の研究の推進方策としては、ほぼ予定通りに進めていくことになる。
平成30年度及び31年度は、メンバー6人がアメリカ合衆国において、文献・資料調査(海外を含む)を行っていく。科研費を用いる渡米の順番は、前述した通りである。
ただ最終年度(4年目)に関しては、少し予定変更することが、3月4日の研究会午前中における話し合いの結果で確認することになった。当初は、4年目に共著出版を予定していたが、史料収集から原稿執筆にかけての時間を十分に取るべきだという意見が大半で、科研最終年度夏に各原稿を脱稿して、秋には互いの論文を読み合い議論する時間を取ることとなった。従って、最終年度が終わる時点で、初校が出るという原稿執筆の進み具合に変更することとなった。
なんとかして、4年間の研究を無事に終えられた後、5年目には共著出版を達成したいと念じている。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (13件)

  • [雑誌論文] アメリカ黒人女性教育者の遺産―小学校の名称となったナニー・ヘレン・バロウズを中心に2018

    • 著者名/発表者名
      岩本裕子
    • 雑誌名

      浦和論叢

      巻: 第58号 ページ: 1-23

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] アメリカにおけるフードスタンプ改革2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤千登勢
    • 雑誌名

      地域研究

      巻: 第39号 ページ: 1-14

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] アメリカ南北戦争の記憶の社会経済史的研究:南北戦争後の半世紀をめぐる議論を中心に2017

    • 著者名/発表者名
      兼子歩
    • 雑誌名

      明治大学教養論集

      巻: 第527号 ページ: 89-113

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] “Book Review: From the War on Poverty to the War on Crime: The Making of Mass Incarceration in America. By Elizabeth Hinton.”2017

    • 著者名/発表者名
      土屋 和代
    • 雑誌名

      Journal of American History

      巻: 104, no.2 ページ: 569-570

  • [学会発表] 『名もなき』運動員の日記から読む米国公民権運動2018

    • 著者名/発表者名
      北 美幸
    • 学会等名
      人権思想研究会、九州大学西新プラザ
  • [学会発表] 小シンポジウム3:黒人女性の視点から再評価する公民権運動―人種、ジェンダー、階層、宗教による差別解消と正義を求める運動との有機的関連2017

    • 著者名/発表者名
      代表者 岩本 裕子
    • 学会等名
      日本西洋史学会
  • [学会発表] 黒人女性コミュニティ組織や学生組織の公民権運動への係わり2017

    • 著者名/発表者名
      西崎 緑
    • 学会等名
      日本西洋史学会
  • [学会発表] カトリックによる人種平等を求める闘い―マーガレット・”ペギー”・ローチを事例として2017

    • 著者名/発表者名
      佐藤 千登勢
    • 学会等名
      日本西洋史学会
  • [学会発表] 公民権運動に参加したユダヤ人たちの係わり2017

    • 著者名/発表者名
      北 美幸
    • 学会等名
      日本西洋史学会
  • [学会発表] 生存権を問う―公民権運動と福祉権運動2017

    • 著者名/発表者名
      土屋 和代
    • 学会等名
      日本西洋史学会
  • [学会発表] 上記小シンポジウムでのコメンテーターとしてのコメント2017

    • 著者名/発表者名
      兼子 歩
    • 学会等名
      日本西洋史学会
  • [学会発表] 公開シンポジウムテーマ:「過去の克服」とジェンダー・セクシュアリティ研究 アメリカ黒人女性の語り継ぎを知る ―「過去の克服」は達成できたか2017

    • 著者名/発表者名
      岩本裕子
    • 学会等名
      国際基督教大学ジェンダー研究センター
  • [学会発表] “Tikkun Olam” across the Border: Mississippi Freedom Summer through the Eyes of a Queens College Jewish Student2017

    • 著者名/発表者名
      北 美幸
    • 学会等名
      42nd Annual Southern Jewish Historical Society Conference, Cincinnati Campus of Hebrew Union College ; Jewish Institute of Religion, Cincinnati, OH,
  • [学会発表] “Conveying Justice to the South: American Jews in the Civil Rights Movement2017

    • 著者名/発表者名
      北 美幸
    • 学会等名
      British Association for Jewish Studies Annual Conference 2017, University of Edinburgh, Edinburgh, UK,
  • [学会発表] 誰のための「福祉」か-ニクソン政権下の「家族支援計画」と人種、階級、ジェンダー2017

    • 著者名/発表者名
      土屋 和代
    • 学会等名
      アメリカ学会第51回年次大会
  • [学会発表] The JAAS Tokyo Pro-seminar(アメリカ学会東京プロセミナー)司会2017

    • 著者名/発表者名
      土屋 和代
    • 学会等名
      アメリカ学会.
  • [学会発表] CPAS創設50周年記念シンポジウム コメンテーターとしてのコメント2017

    • 著者名/発表者名
      土屋 和代
    • 学会等名
      東京大学アメリカ太平洋地域研究センター. 東京大学駒場キャンパス

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公開日: 2018-12-17  

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