研究課題/領域番号 |
17H02416
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
木下 尚子 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (70169910)
|
研究分担者 |
山野 ケン陽次郎 熊本大学, 埋蔵文化財調査センター, 助教 (10711997)
高椋 浩史 九州大学, アジア埋蔵文化財研究センター, 学術研究者 (10759418)
米元 史織 九州大学, 総合研究博物館, 助教 (40757605)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 広田遺跡 / 土器 / 胎土分析 / 中性子放射化分析 / グループ / ウィーン工科大学 |
研究実績の概要 |
人骨班(高椋浩史、米元史織)は、広田遺跡(下層)・鳥の峯遺跡出土人骨のデータカードの作成、広田遺跡調査に関する写真・図面などの整理、人骨の形質人類学的分析を行い、下層人骨について作業を終了した。人骨のてストロンチウム同位体比分析を実施した。 土器班(石堂和博、具志堅亮)は、広田遺跡および沖縄清水貝塚出土土器の調査を実施した。さらに広田人の移動経路・土器等の流通経路の追跡に必要な基礎資料を作成する目的で、広田遺跡出土の土器で南種子町教育委員会が所蔵するもの27片と、種子島の土器に類似する土器を出土した沖縄県伊江島で出土した土器4片、合計31片の資料を対象に胎土分析を実施した。分析は中性子放射化分析を用い、ウィーン工科大学に依頼した。結果は以下の3点である:1.広田遺跡の土器は胎土において南区に2グループ、北区に1グループが存在し、これは南区の1グループに似る。2.沖縄の土器は種子島のグループとは別のグループにはいる。3.広田遺跡にはこのほかにグループが成立する可能性がある。これが今後分析数をふやすことで明らかになる可能性が高い。 貝符班(山野ケン陽次郎、比嘉保信)は、広田遺跡出土貝符の製作技法の復元を下層貝符について実施した。彫刻用の工具を鉄から石器に換えて、メノウ、鉄石英、碧玉、石英について実験を行った。書評 サンゴ礁の人文地理学-奄美・沖縄、生きられる海と描かれた自然貝符の彫刻技法の復元のために、キーエンス社のデジタルマイクロスコープによって3次元計測を行い工具痕跡のデジタル記録をとった。 普及班(小脇有希乃)は、広田遺跡ミュージアムで、本科研による共同研究の進捗状況の概要を広報した。総括班(木下尚子、岩永省三)は、琉球列島の埋葬習俗例を収集した。書評 サンゴ礁の人文地理学-奄美・沖縄、生きられる海と描かれた自然
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人骨班、土器班、貝符班、普及班ともに計画通りに作業を進行し、成果を出している。ことに 胎土分析について、広田遺跡出土土器の基礎的データを得、遺跡内の北区と南区における違いを抽出することができた。この違いは考古学的情報と対応している。沖縄との関係では積極的なデータが得られなかったが、これは種子島と沖縄との関係を考える上で今後意味をもつ。
|
今後の研究の推進方策 |
各班が1年目の作業を継続し、分析資料数をふやして成果をだし、3年目の報告につなげる。胎土分析については、研究経費との関係をみながら、広田遺跡北区の分析数をふやし、広田遺跡内の土器胎土について、基礎的データの充実を図る。
|