研究課題/領域番号 |
17H02438
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
小島 孝夫 成城大学, 文芸学部, 教授 (60286903)
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研究分担者 |
周 星 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (00329591)
金子 祥之 立教大学, 社会学部, 特別研究員(日本学術振興会) (10758197)
金 賢貞 亜細亜大学, 国際関係学部, 講師 (20638853)
佐山 淳史 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (20784359) [辞退]
及川 祥平 成城大学, 文芸学部, 専任講師 (30780308)
竹内 由紀子 女子栄養大学, 栄養学部, 准教授 (40587987)
加賀谷 真梨 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (50432042)
田村 和彦 福岡大学, 人文学部, 教授 (60412566)
宮岡 真央子 福岡大学, 人文学部, 教授 (70435113)
渡部 圭一 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 学芸技師 (80454081)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 生活変化 / 生活改善 / 生活世界 / 東アジア / 高度経済成長 / 世代差 |
研究実績の概要 |
本研究は1920~30年代に日中韓の国々でほぼ同時発生的に胚胎し、第二次世界大戦後にそれぞれに展開した生活改善運動/新生活運動を、その同時性や差異を念頭に、台湾・沖縄を含む東アジア圏との比較研究により、第二次世界大戦後の日常史的な生活変化の推移を相対化し、現在の生活世界の成り立ちを明らかにすることを目的とする。 今年度は初年度に引き続き、日本における生活改善諸活動の展開を時系列的にデータベース化していく作業と東アジア圏における生活改善諸活動に関する基礎資料収集作業とを、より集約的に実施していくことを試みた。 前者については、福岡大学において福岡県下の事例分析を開始し、成城大学では事例分析対象を関東圏に加えて東北地方や四国地方にまで拡げて、地域間での生活改善諸活動の展開の共通点や差異を検証していく作業にも着手した。初年度に確認した生活改善諸活動の終焉が高度経済成長の過程で顕在化した核家族化の進展に沿って収束していく傾向について、戦後の民主化や家制度の変化を直接経験した世代と次世代との間に、当時の生活改善諸活動に対する受容姿勢の差異が存在したという視座を加えることにより、日常生活を構成していた複数世代間に日常という概念に対する差異があったことが明らかになってきた。当該世代間で家的自我がどのように変容していったのかという論点が、日本における生活改善諸活動の展開と影響を検証していくうえで重要な意味を有することが、今年度の作業から確認することができた。 東アジア圏における生活改善諸活動に関する資料収集作業も着実に進展しており、当該地域ごとの諸活動の実態を検証する作業に着手している。今年度の個別研究成果を共有し、比較研究をすすめていくことにより、東アジア圏という視点からの生活改善諸活動の展開が総体化されることになり、日本における生活改善諸活動の展開との実証的な比較研究が可能になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に予定していた研究活動のうち、日本における生活改善諸活動に関するデータベース入力作業は、新たに福岡大学での入力作業と滋賀県立琵琶湖博物館による西日本各地の情報収集が加わり、関東圏を中心とした東日本に偏りがちであった事例分析対象を全国に拡げることができた。 東アジア圏での生活改善諸活動関係資料収集作業も継続的に実施されており、個別研究の成果も蓄積されてきている。 また、日本と東アジア圏との生活改善諸活動の実証的な研究を行う試みとして、第二次世界大戦後に在日韓国人が大韓民国済州道の故地にミカン苗を送り続けた事例を分析することで、両地域間での経済発展の連続性を確認し、その連続性と両地域間での生活改善に関する意識の差異を検証するという調査にも着手した。 日本と東アジア圏での生活改善諸活動をデータベース化により比較研究するだけではなく、人の移動や交流という動態からも検討していくという可能性も見出されている。
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今後の研究の推進方策 |
4年計画の折り返し点を過ぎた本研究の喫緊の課題は、共同研究の核となる日本国内での生活改善諸活動の実態を示すことになるデータベース入力作業と、東アジア圏を中心とした個別事例研究との統合をどのようにすすめていくかということである。 3年目の研究課題はこの課題を克服して、研究成果の共有・活用ができるようにすることである。研究の核となる調査活動を継続しながら、研究成果の検証作業を開始しなければならない段階にきており、研究の到達目標に向けた仮説採択作業が必要である。 今年度は全体研究会を複数回開催することを試みたが、日程調整や気象障害の影響等により、研究会に全員が揃うということが困難であった。情報を共有するための対応策として、日本民俗学会等の会合を利用する方法に切り替え、研究会分の旅費を個別調査旅費に充てることで個別研究の進展を図ることに努めたが、研究成果の共有を図る作業が充分に行うことができなかったという課題を残した。 次年度は研究の到達目標にむけた仮説採択とその検証作業をすすめていくことになるため、今年度の反省点をふまえて、データベース作成担当者間、日本における生活改善諸活動担当者間、東アジア圏における生活改善諸活動担当者間でのそれぞれの研究成果の共有を図る体制を再調整していくことにする。こうした予備作業を行うことで、全員の研究成果をデータベース化して分析できるように研究をすすめていきたい。
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