研究課題/領域番号 |
17H02440
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
松田 睦彦 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (40554415)
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研究分担者 |
島立 理子 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (00332354)
昆 政明 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (10747182)
川島 秀一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (30639878)
磯本 宏紀 徳島県立博物館, その他部局等, 主任 (50372230)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 朝鮮海出漁 / カタクチイワシ / 煮干し |
研究実績の概要 |
今年度の研究の経過および成果は以下のとおりである。
4月8日~9日 研究会(国立歴史民俗博物館)。6月25日~30日 個別調査(全羅南道・カタクチイワシ漁)。7月20日~22日 個別調査(広島県広島市、坂町、呉市豊島・朝鮮海出漁)。7月26日~8月1日 個別調査(全羅南道、慶尚南道・カタクチイワシ漁)。8月17日~19日 個別調査(山口県周防大島町、広島県坂町・朝鮮海出漁)。8月30日~9月1日 個別調査(長崎県天草市、牛深町、カタクチイワシ漁・ウルメイワシ漁)。9月20日~26日 研究会および個別調査(韓国国立民俗博物館、慶尚南道・カタクチイワシ漁)。1月9日~12日 個別調査(江原道・岩ノリ採取)。1月31日~2月1日 個別調査(福岡県福岡市、宗像市・イリコ製造)。2月18日~23日 個別調査(石川県輪島市・魚醤製造および利用)。2月26日~28日 個別調査(千葉県南房総市、イワシ地曳網漁)。3月12日~14日 個別調査(青森県下北半島・焼き干し製造)
韓国におけるイワシ漁にともなう日本文化の残存調査、日本における朝鮮海出漁の母村の調査、図書館資料の調査ともに、ほぼ予定どおり調査が進行した。さらに、韓国では和船の技術が取り入れられた漁船が確認され、次年度に実測調査を行なうことが決まっている。また、日本では広くイワシ利用に関する調査も行ない、韓国の伝統的なイワシ利用との比較の材料を得ることができた。韓国の岩ノリ採取については、日本とほぼ同じ道具が使われているため、日本からの技術移転の可能性を考慮して行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた調査に関してはほぼ実施することができ、二年目以降にさらに具体的に調査・研究を進めるにあたっての調査地や課題の絞り込みを行なうことができた。 ただし、韓国全羅南道楸子島におけるカタクチイワシ漁の調査と韓国東海岸におけるマイワシ漁の調査については実施することができなかった。楸子島については、次年度調査を行なう予定である。また、予算削減への対応としてカタクチイワシを研究の中心に据えることとし、東海岸のマイワシ漁およびその利用に関する調査については、予算の執行状況に応じて、可能であれば行なうこととする。
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今後の研究の推進方策 |
韓国では、今年度の調査成果をもとに、慶尚南道の釜山や統営、全羅南道巨文島、楸子島等に調査地を絞り、日本人漁民のもたらした文化的影響についての具体的な調査を進める。とくに、韓国のカタクチイワシ漁で伝統的に使われてきた船であるトングミンペについては、和船の技術の混淆について、実測調査から明らかにする。また、韓国全土における煮干し出汁の浸透について、その歴史的経緯の検討を行なう。 日本では、引き続き、朝鮮海出漁母村に残された資料の分析と聞き取り調査を進める。また、韓国における日本の影響を検証するため、日本のイワシ漁およびイワシの利用についても調査が必要であることが確認された。したがって、当初計画ではあげられていなかったが、日本各地におけるイワシの漁および利用に関する調査も並行して行なっていきたい。
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