研究課題/領域番号 |
17H02445
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宇佐美 誠 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (80232809)
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研究分担者 |
足立 幸男 京都産業大学, 法学部, 教授 (10091092)
高村 ゆかり 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70303518)
那須 耕介 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (60330354) [辞退]
瀧川 裕英 立教大学, 法学部, 教授 (50251434)
松本 充郎 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (70380300)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 法哲学・法理学 / 気候正義 / 適応策 / 政策分析 / 環境法 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、公正かつ効果的な気候変動適応策を策定・実施できる社会システムの構築をめざし、分配的正義論・責任論・民主制論の先端的知見を活用しつつ原理的考察を行った上で、環境法学・政策分析と接続して法政策を構想することを目的としている。この目的を効果的に達成するため、原理班・思考班・構想班に分かれて活動しつつ、全体会合を通じて統合化を推進した。 平成29年度には、(1)学問的蓄積の共有化、(2)現在の研究状況の把握、(3)主要論点の析出、(4)先端的研究の捕捉を予定していた。これらの作業はいずれも順調に実施することができた。(3)としては、気候正義論における温室効果ガス排出権の各分配原理の構造・特徴、民主制における長期的射程をもった政策をめぐる理論的・実践的困難、気候変動下における水法をめぐる現況と課題など、原理的レベルから法政策レベルにおよぶ諸論点が抽出された。(4)の実施を兼ねて宇佐美・足立が参加した第3回公共政策国際会議(ICPP3)の折には、海外共同研究者であるフランク・フィッシャー名誉教授(ラトガーズ大学)およびラウル・レジャノ准教授(ニューヨーク大学)と、最終成果物の公刊を含む今後の研究計画について集中的協議を行った。 さらに、(5)中間的成果の発表を多数行うことができた。主要な成果として、宇佐美によるICPP3での気候政策と民主制に関する研究報告や、気候政策における発展の権利を検討した国際会議報告、足立がICPP3で公共政策を考察した招待講演や、わが国の政策分析への評価を行った論文、高村による国際環境法、パリ協定、日本の気候政策その他に関する多数の論文および国際会議招待講演、那須が多元的法理論を論じた英語論文、瀧川が国境の法哲学的考察を行った論文および国際会議招待講演、そして松本による土地所有権の人口論的考察の著書や、富の共有に関する著書などが挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成29年度に予定していた4つの作業、すなわち(1)学問的蓄積の共有化、(2)現在の研究状況の把握、(3)主要論点の析出、(4)先端的研究の捕捉について、いずれも順調に実施することができた。それにとどまらず、当初は平成30年度に予定していた(5)中間的成果の発表を、「研究実績の概要」欄に記載の通り、多くの件数行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度には、当初予定の通り、先端的研究の捕捉を継続しつつ、理論構築を推進し、共同討議を通じて理論彫琢を行った上で、中間成果の発表を実施してゆく。
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