研究課題/領域番号 |
17H02462
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
城下 裕二 北海道大学, 法学研究科, 教授 (90226332)
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研究分担者 |
山本 輝之 成城大学, 法学部, 教授 (00182634)
湯沢 賢治 独立行政法人国立病院機構水戸医療センター(臨床研究部), なし, 部長 (10240160)
柑本 美和 東海大学, 法学部, 教授 (30365689)
佐藤 結美 上智大学, 法学部, 准教授 (50733119)
奥山 眞紀子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, こころの診療部, 部長 (70177195)
平野 美紀 香川大学, 法学部, 教授 (70432771)
奥田 純一郎 上智大学, 法学部, 教授 (90349019)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 臨床研究 / 臨床試験 / 治験 / 実験的医療 / 正当行為 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、臨床研究の法規制に関する海外の状況を検討するため、アメリカ合衆国(ワシントンD.C.)のジョージタウン大学・ケネディ倫理研究所を訪問した。当地は医事法・生命倫理学のメッカとして知られ、長年にわたって学術的交流を続けているProf. John Keownへのインタビューも交えつつ、アメリカにおける「人を対象とする臨床研究に関する規制」(45CFR46)を中心とした分析を行った。これは行政規則ではあるが、被験者保護に関する包括的なルールとしてわが国でも参照すべき点が多い。また、同研究所のライブラリアンの全面的な協力を得て、これまで英語圏で発表された、臨床研究に対する刑事法的対応に関する主要な文献を網羅的に調査することができた。 また、研究代表者の所属する北海道大学において2019年3月に「法と精神医療学会」が開催されることとなったため、代表者のオーガナイズにより、シンポジウム「北海道における指定入院医療機関の設置について」を実施した。北海道大学病院では、数年後を目処に、全国で初めて、医療観察病棟を設置することがこのたび公表され、そこでは、臨床家による医療とは異なって、アカデミックなアプローチによる治療法の確立が期待されている。シンポジウムならびにその準備過程では、精神科医療における臨床研究のあり方も、こうした施設における検討課題となりうることが確認された。 以上のほか、各研究分担者において、イギリス・オランダ・フランスを中心に、臨床研究の規制状況について調査を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目および2年目の研究によって、臨床研究に対する(刑事)法的規制をめぐる理論上の検討課題については、ほぼ明らかにされつつある。個々の論点のさらなる分析は、今後の作業に委ねられている。また、海外の臨床研究における規制状況については、各研究分担者において、おおむね順調に調査が進んでいる。調査対象国をどこまで拡大するかは一つの課題であるが、今回の分担者の専門分野も考慮すると、取りあえずは欧米を中心とすることになると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度となるため、これまでの各国における臨床研究の規制状況を踏まえて、現行のわが国の臨床研究法に不足している部分を、被験者保護の観点からまとめる作業を実施する。特に同法における罰則は、手続違反に関する規定が中心となっているため、より本質的な、例えば被験者の同意に副わない事態が生じた場合、あるいは予期せぬ人的被害が生じた場合などについての具体的対応を検討する。その上で、あるべき臨床研究の(刑事)法的規制のモデルを構築する。 また、過去2年間での研究の成果を、外部からのゲストを交えた研究会ないしシンポジウムの形式で発表する機会を設けるとともに、さらなる検討課題を発掘しつつ、研究の総括に至ることができるように努める。
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