研究課題/領域番号 |
17H02477
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
水島 治郎 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (30309413)
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研究分担者 |
中北 浩爾 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (30272412)
西山 隆行 成蹊大学, 法学部, 教授 (30388756)
野田 昌吾 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (50275236)
古賀 光生 中央大学, 法学部, 准教授 (50645752)
今井 貴子 (小関貴子) 成蹊大学, 法学部, 准教授 (60552859)
作内 由子 獨協大学, 法学部, 専任講師 (60631413)
伊藤 武 専修大学, 法学部, 教授 (70302784)
中山 洋平 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (90242065)
田口 晃 北海学園大学, 法学部, 教授 (30113583)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ポピュリズム / グローバリゼーション / 新右翼 / 移民排斥 / 反エリート |
研究実績の概要 |
研究初年度となる2017年度は、今後4年間にわたる共同研究の足場を築くため、ポピュリズムをめぐる基礎的な概念整理、共通の枠組みの設定、今後の展望についての討議を実施した。しかもポピュリズムについては、2017年度中に各国政治で重要な展開が見られたことから、現地メディアを通じた情報収集・分析、現地調査も行われた。特に2017年4-5月におけるフランス大統領選挙と国民戦線のルペンの決選投票進出、9月のドイツ連邦議会選挙におけるポピュリズム政党・ドイツのための選択肢の第3党への躍進、そして2018年3月のイタリア総選挙における「同盟」および五つ星運動の拡大は本研究の課題に直接かかわる事象であり、メンバーによるドイツ、イタリアなどへの現地調査も実施され、研究会でその調査結果が報告されるとともに、各国比較が検討された。そこで明らかにされたことは、いずれの国においても、既成政党の弱体化が顕著であり、その間隙をついてポピュリズム政党が進出していること、他方、ポピュリズム政党の中には必ずしも従来の政治構造を全否定するのではなく、既成政党を批判することが専らの「言葉の上の戦い」に重きを置いている例もあることが指摘された。とはいえ先進各国のデモクラシーがポピュリズムの拡大で新たな挑戦を受けていることは確かであり、各国比較の上でそのインパクトを慎重に見定めていくことが求められる。上記の研究遂行のため、日本語・英語・ドイツ語・フランス語・オランダ語など各国言語の書籍・雑誌を多数購入した。なお当プロジェクトについては、2018年3月、有力出版社から論文集刊行のお申し出をいただいており、書籍に成果をまとめる形で今後の研究を進めていくことになろう。また、代表者の水島が2017年度、ポピュリズム研究で石橋湛山賞を受ける栄誉に浴したが、このことは本研究の社会的・学問的重要性を示すものといえるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポピュリズムをめぐる比較政治上の基礎的枠組みの討議、各国語によるポピュリズム関連文献の収集は順調に進み、ドイツ(ベルリン、ハンブルク、フランクフルト)など総選挙が実施された国への渡航調査も行われた。本研究プロジェクトには出版社からの関心も高く、順調な滑り出しといってよい。
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今後の研究の推進方策 |
有力出版社から論集を刊行する方向がほぼ定まったことから、今後は論集の編集に向けた研究計画を進めることとなる。他方、2018年3月にはイタリアで総選挙が実施され、ポピュリスト政党が第一党に躍進するなど、事態は流動的であり、両にらみで刊行スケジュールを立てていく。ポピュリズムの比較検討をめぐる研究成果の公開には社会的意義も大きいところから、ある時点で事態の推移を踏まえた論文執筆をメンバーに依頼し、刊行に向けて進むことになろう。
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