研究課題/領域番号 |
17H02486
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
森田 朗 津田塾大学, 総合政策学部, 教授 (50107489)
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研究分担者 |
土居 丈朗 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (60302783)
泉田 信行 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 部長 (70360716)
黒田 有志弥 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第3室長 (70582724)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 医療財政 / 医療保険 / 持続可能性 / 危機対応 |
研究実績の概要 |
本研究では、わが国の医療財政の現状を把握するのに有用なデータを広範に収集するとともに、今後わが国で起きうる経済財政の外的ショックを想定し、それが発生した際の医療財政や医療機関などへの影響についてシミュレーション分析を行う。さらに、想定されうるこれらのシナリオにおいて医療制度の持続可能性を維持するための給付範囲・水準について分析し、これらの給付範囲・水準が規範的に許容されるか、これまでの施策策定・実施過程に照らし実現可能性を有するかについて法学、政治学の観点から分析する。 上記の研究目的を達成するための第一段階として、平成29年度は、研究班メンバーの全体会議を行い、研究計画に沿って、①医療財政のシミュレーション分析、②医療政策研究、③各国調査、④医療従事者の就業行動に関する実証分析を行った。 ①については、わが国の医療保険財政の現状を詳細に分析できるデータセットを構築、医療保険財政の脆弱性や危機対応の分析が行える基盤を整備した上で、分析に着手している。②については、日本の医療分野に関わる政策・法制度の動きに関する文献・資料の収集を行った。また、地域医療の実態と課題を明らかにするために、高知県、同県の医療機関、NPO法人に対知るヒアリング調査を実施した。③については、諸外国の医療制度に関する文献調査を行うとともに、国際学会において各国の医療制度に詳しい研究者や実務家等との意見交換、歴史的資料の収集・検討や歴史学者や医療制度に詳しい研究者の研究報告から、財政破綻の経験による知見が整理された。④については、医療制度の資金循環などの知見の収集を行い、医療従事者の就業行動に関する実証分析のためのデータについて就業構造基本調査の二次利用申請を行い、当該データを入手して、分析に着手している。 医療保険財政に対して、年度途中の医薬品の保険収載や既存薬の効能追加の影響について、論文を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①医療財政のシミュレーション分析、②医療政策研究、④医療従事者の就業行動に関する実証分析については、概ね当初の研究計画に沿って実施している。他方、③の各国調査については、海外の学会での情報収集や文献調査等は進んでいるものの、対象国や時期、調査内容等の調査設計を行い実施するまでには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
以下の個別の研究を進めるとともに、研究代表者を中心として、研究成果の総括を開始する。その上で、本研究結果から示唆される政策提言をとりまとめ、学会報告などを通じて発信する。 ①については、平成29年度に構築したわが国の医療保険財政の現状を詳細に分析できるデータセットを用いて、医療保険財政の脆弱性や危機対応の分析を行う。 ②については、日本の医療分野に関わる政策・法制度の動きに関する文献・資料をもとに、医療政策の策定・実施過程を分析するとともに、これまで形成されてきた、給付範囲・水準を含む医療保障の法規範の内容について明らかにする。 ③については、引き続き諸外国の医療制度・政策に関する文献調査を行い、現地調査を行う対象国を選定し、現地調査を行う。 ④については、平成29年度に引き続き、医療従事者の就業行動に関する実証分析のためのデータの分析を行う。
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