研究成果は主に二つの分野に分けることができる。第一はフランスの脱植民地化政策に関わる。1954年にフランスが北アフリカで脱植民地化政策に転じたことがその後のアフリカを中心とする海外領土の脱植民地化につながり、それが最終的には1960年の相次ぐ独立につながった。第二に、1956年のスエズ危機後の国際政治過程に関する研究である。従来の研究は、スエズ危機の後、イギリスはアメリカ政府や国際世論の圧力を受けて軍隊の撤退を余儀なくされ、中東での大幅な影響力後退を感受させられたと議論してきた。本研究は、イギリスはアメリカと国連の協力を得て影響力の後退を最低限にとどめることに成功したと議論する。
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