研究課題/領域番号 |
17H02488
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
五百籏頭 薫 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40282537)
|
研究分担者 |
市川 智生 沖縄国際大学, 総合文化学部, 准教授 (30508875)
福岡 万里子 国立歴史民俗博物館, 歴史研究系, 准教授 (50740651)
箱石 大 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (60251477)
大西 楠・テア 専修大学, 法学部, 准教授 (70451763)
稲吉 晃 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (70599638)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 条約改正 / 日独関係 / 日米関係 / 港湾 / 検疫 / 個人情報保護 / 政軍関係 |
研究実績の概要 |
当該年度は研究期間の最終年度であるため、これまでの蓄積に助けられて研究成果はきわめて多産・多様であった。以下では、特に主だった研究の進展のみを紹介しておく。 大西楠・テアはドイツ法制史の研究を進展させ、個人情報保護法制について論文を刊行した。明治期の条約改正の技術的難点となった著作権保護の問題に示唆を与える。また、大西・五百旗頭が参加したハレ大学シンポジウム「明治維新の遺産─民主主義への道」での講演内容も刊行した。国際的な研究者のネットワーキングが順調に拡大していることの傍証である。 ドイツ史料の研究を旺盛に進めてきた福岡万里子は米国の史料へと調査を拡大していたが、タウンゼント・ハリスの個人文書を用いて日本開国を中国・シャムも視野に入れた国際的なネットワークの中で把握する業績を産み出した。 稲吉晃は日本の港湾史の知見を国際関係史の中に位置付けなおす作業を進めている。福沢諭吉による海外の港湾の探訪経験を切り口に、蒸気船・鉄道のインパクトが強すぎたためか福沢が明確な港湾観を形成せず、恐らくこれが作用して港湾は官営に委ねるべきと考えた経緯を浮かび上がらせた。 ドイツ政府の日本観察は自らが貢献した軍の発展状況に相当の比重を置いており、その視角を参考に五百旗頭は戦前の国際環境を再考した上で長期的な政軍関係の変遷を考察する業績を発表した。さらに、現代の世界的なポピュリズムの拡大を念頭に置きつつ、明治期の国際関係と国家形成を関連させて共同研究を続けた結果、政治的な虚偽が外交と内政においてどのように現われるかについての考察が深まり、思い切った史論が可能となった。五百旗頭薫の『<嘘>の政治史』(中公選書)はその成果である。政治・権力と真実を対置するのではなく、政治の中でよりましな嘘とより有害な嘘とを対置させることで、政治からの退場ではなく参加と改良をうながす視点を確立できたと考える。
|
現在までの達成度 (段落) |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
今後の研究の推進方策 |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|