研究課題/領域番号 |
17H02494
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
佐藤 丙午 拓殖大学, 国際学部, 教授 (30439525)
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研究分担者 |
齊藤 孝祐 横浜国立大学, 研究推進機構, 特任教員(准教授) (40721436)
福井 康人 広島市立大学, 付置研究所, 准教授 (40644315)
松村 博行 岡山理科大学, 経営学部, 准教授 (60469096)
明石 純一 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30400617)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 国際関係論 / 安全保障論 |
研究実績の概要 |
2017年度は研究の初年度であるため、これまで各自が進めてきた研究と、本研究課題に合わせた研究の進展が、同時に進行した点に特徴がある。本研究課題を進めるにあたり、これまで各分担者が進めてきた研究成果を最大限に活用することを想定していたため、2017年度の研究は順調に進んだ。 本研究課題については、新技術が実際に国際関係の諸問題に及ぼす影響が、研究開始時点では明確に見えにくいこと、さらには日本では新技術が社会秩序や規範等に及ぶ影響が国際社会に比べて遅く発現すること、国際法の議論などでは、変化が発生した後に法的秩序の再構成が起こること、そして輸出管理の分野では、既に進展しつつある技術の拡散に対して緊急に対応が必要になること、さらに移民問題を含め、新技術とは無関係に見える社会現象が相互に連動して発生することなどの、中間的な結論を前提に研究を進めていくものとした。このような状態を前提とする必要があるのは、技術が社会変化の従属変数か独立変数化判明しずらいためである。 このため、本研究課題を進めるにあたり、国際社会領域での新技術をめぐる諸問題について、現状把握を進めることが現実的かつ実際的であると判断した。研究分担者は、それぞれの持つ研究上の資産を活用し、それぞれの分野で割り当てられた研究課題の調査研究を進めている。特に、日本や外国での学会活動の活発化、海外で開催される、研究課題と関係するシンポジウムやセミナーへの参加、そして実際の政策形成や国際条約等の形成過程への参加を重視し、それぞれが必要な活動を行っている。 2017年度では、防衛装備移転に関する政策形成への参加と、軍備管理軍縮交渉への参加が、研究成果を具体化する作業となった。分担者は、日本の国会内での政治家との意見交換及び政策議論への参加を進めると共に、国際交渉の場での積極的な活動を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2017年度の活動は、研究分担者個別の研究を中心に進めた。研究テーマの先進的な性格から、2017年度は研究のフレームワークを研究者間で共有し、そこで得られた問題意識もとに各自で調査活動を行うことに注力した。 研究分担者は、それぞれの研究テーマに対応した研究出張や文献収集を進め、それぞれが研究成果を学会活動や研究会活動で公表している。研究出張に関しては、研究費による出張に加え、相互に海外での研究会活動の情報交換を密に保ち、必要に応じて海外からの招待による研究会や学会での活動も活発に実施した。 新技術が国際社会の在り方に与える影響について、米国における議論を参考にすることが必要となる。研究課題を進めるにあたり、分担者の多くは研究費を使用して米国出張を実施し、そこでの議論や政策の現状を把握した。同時に、一部の分担者は、研究の発表を通じて米国のシンクタンク等に招待され、そこでの報告を行う共に、現地調査を進めている。2018年3月には、代表者がスティムソン研究所とアジアソサエティ研究所での核政策及びAIに関するシンポジウムに参加し、ワシントンDCでの政府及びシンクタンク関係者との意見交換及び交流を進めている。 さらに、特定通常兵器使用禁止制限条約の政府専門家会議が開催されることになり、代表者と分担者は、会議に参加し、そこでの議論に参加している。研究と、新技術の国際秩序に与える影響に関する国際社会での議論や政策創造のプロセスが同時進行で進んだことにより、研究成果を国際的な場で検証する機会に恵まれた。 以上の状況を考慮すると、研究の進捗は順調であり、これを継続して最終的な成果を得ることの展望は明るいと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度に収集した研究内容をもとに、本研究課題の進捗を図る。 2017年度に生じた一つの問題は、特定通常兵器使用禁止制限条約の自律型致死性無人兵器システム(LAWS)の政府専門家会議が2018年4月に開催されたことであった。これまでの研究成果が評価された関係で、研究代表者は日本政府より条約交渉への参加を求められており、本研究の推進にあたって必要不可欠と判断したことから、2017年度の研究機関を延長してこの会議に参加した。 2018年度の研究にあたっては、これまでの各研究分担者の研究成果をふまえ、調査分析を継続すると共に、諸外国の研究者との交流の場を積極的に開拓し、研究成果の検証を実施することとする。研究成果の検証に当たっては、各分担者の専門分野と、人的ネットワークをふまえ、それぞれで研究成果を検証することを基本とする。その上で、核研究の方向性の調整を図り、2019年度に向けた研究成果の取りまとめを図るうえで、2018年度の後半の時期に、研究協力者を含めた包括的な研究会を開催するものとする。 以上の方針をふまえ、2018年度における本研究課題の推進にあたっては、2017年度までの研究の継続と、海外での研究成果の検証を主眼とし、それを分担者間で密接に調整して2019年度の研究につなげるものとする。
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