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2020 年度 実績報告書

業務とスキルが個人間賃金格差に及ぼす影響に関する実証分析

研究課題

研究課題/領域番号 17H02522
研究機関神戸大学

研究代表者

勇上 和史  神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (90457036)

研究分担者 森本 敦志  神戸大学, 経済学研究科, 経済学研究科研究員 (00739071)
野村 友和  大阪経済大学, 情報社会学部, 准教授 (30507207)
檜 康子  大阪国際大学, 経営経済学部, 准教授 (30761514)
堀江 進也  尾道市立大学, 経済情報学部, 准教授 (50633468)
岡村 和明  広島修道大学, 経済科学部, 教授 (70325398)
佐藤 純恵  名古屋経済大学, 経済学部, 准教授 (70623388)
安井 健悟  青山学院大学, 経済学部, 教授 (80432459)
佐野 晋平  神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (80452481)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード不平等 / 技術進歩 / 均衡処遇
研究実績の概要

本研究では,日本の個人間の賃金格差の要因と対応策について検討するため,独自の調査によって労働者の職務で求められる業務(タスク)を計測し,業務の特性ならびに強度と,性,学歴,雇用形態ならびに地域といった労働者属性との関係を考察するとともに,それが労働者グループ内およびグループ間賃金格差に及ぼす効果について実証的に検証する。
近年,技術進歩や経済のグローバル化が,仕事における特定の業務との代替・補完関係を通じて,賃金の高い職と低い職の需要を増大させるという「労働市場の二極化」傾向が明らかにされている。本研究の意義は,国内外の既存研究の限界を克服する新たなデータを構築し,職務の業務特性と個人属性の対応関係の解 明を通じた,個人間の賃金格差の発生メカニズムを総合的に明らかにする点にある。
令和2年度は,第1に,第1回パネル調査及び追加調査のミクロデータに基づき,男女間ならびに雇用形態間のタスク格差と賃金格差について検証し,男女および雇用形態といった労働者グループ間で特定のタスクの分布が異なること,当該タスク分布の平準化が賃金格差を縮小させることを明らかにした。この結果について学会報告を行うとともに,論文を改訂した。第2に,転職時のタスク変化を捉えたミクロデータに基づき,労働市場経験が長いほど,転職時にはタスクが似たような職業に転職すること,転職前後でタスクが類似するほど転職後の賃金低下が抑制されることなどについて論文を取りまとめた。第3に,第2回のパネル調査を実施し,2時点のパネルデータを構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本プロジェクトの主要な3つの研究テーマのうち,タスクの個人間格差および政府統計を用いた分析結果については,これまでにも一定の研究成果を公表しており,令和2年度には,転職時のタスク変化を捉えたミクロデータに基づく,タスク特殊的スキルに関する研究について更なる進捗が見られた。また,タスク格差と個人間賃金格差に関する3つのサブテーマについても学会において研究成果の報告と改善を進めるなどの進展が見られている。さらに,当初の研究計画通り,第1回調査の回答者を対象とした第2回調査を実施し,複数時点の就業状況とタスク情報を記録したパネルデータを構築した。

今後の研究の推進方策

令和3年度は,引き続き,第1回パネル調査及び追加調査のミクロデータに基づくこれまでの研究成果の公表を進めるとともに,次に示す本研究プロジェクトのサブテーマについて,前年度に調査・構築したパネルデータに基づく研究をとりまとめる。具体的には,(1)同じ職業における雇用 形態間で,業務特性・強度で示される技能の深さにどれだけの違いがあり,それがどの程度賃金に反映されているか,(2)男女の業務特性・強度について,職業間 ならびに職業内の格差と,それが賃金格差に及ぼす影響,(3)学歴間の業務強度の格差とその要因としての職業分布と認知能力の効果について,パネル調査に基づく新たな研究成果をとりまとめる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [国際共同研究] Towson University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Towson University
  • [雑誌論文] Firm age and wage determination: evidence from matched employer-employee data in Japan2021

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Okajima, Kazufumi Yugami, Atsushi Morimoto, Shigeharu Okajima, and Kenta Nakamura
    • 雑誌名

      Applied Economics Letters

      巻: 28 ページ: 133-136

    • DOI

      10.1080/13504851.2020.1738324

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 転職が不利にならない条件2021

    • 著者名/発表者名
      勇上和史・牧坂亮佑
    • 雑誌名

      長期雇用社会のゆくえ ―脱工業化と未婚化の帰結(労働政策研究報告書)

      巻: 210 ページ: 75-93

  • [雑誌論文] 労働市場「東京」の特徴2020

    • 著者名/発表者名
      田中喜行・東雄大・勇上和史
    • 雑誌名

      日本労働研究雑誌

      巻: 718 ページ: 4-17

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 日本における男女間賃金格差の要因:タスク・アプローチによる検証2020

    • 著者名/発表者名
      前田一樹・野村友和・佐藤純恵・勇上和史
    • 学会等名
      日本経済政策学会第77回全国大会
  • [学会発表] 日本における男女間賃金格差の要因:タスク・アプローチによる検証2020

    • 著者名/発表者名
      前田一樹・野村友和・佐藤純恵・勇上和史
    • 学会等名
      日本経済学会2020年度秋季大会
  • [学会発表] 転職による適職選択行動 ―初職から適職へのマッチングプロセスの実証分析―2020

    • 著者名/発表者名
      赤木邦江・勇上和史
    • 学会等名
      日本経済政策学会第77回全国大会

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公開日: 2021-12-27  

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