研究課題/領域番号 |
17H02524
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
胡 云芳 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30379466)
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研究分担者 |
三野 和雄 同志社大学, 経済学部, 教授 (00116675)
大土井 涼二 東京工業大学, 工学院, 准教授 (90433292)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 開放経済 / 財政政策 / 経済動学 / 資本移動 / 構造変化 |
研究実績の概要 |
本研究は成長する開放経済における貿易パターンの変化、マクロ経済政策の動学的効果そして産業構造変化がどのようにお互いに影響し合うかに関する諸問題を理論的に解明することを目的とする。平成29年度は基本的に計画通りに実施し、以下のような結果を得た。 1)小国開放経済における非線形財政政策の安定化効果分析が完成した。分担者の三野和雄教授と海外研究協力者である台湾中央研究院のBeen-Lon Chen教授との共著論文は外生成長および内生成長モデルにおける非線形税率のマクロ経済安定化効果をパラメータの値の領域ごとにはっきりさせた。内生成長経済においては、累進税のマクロ経済安定化効果はこの税金の参照所得レベルに依存することを示したが、外生成長経済においては累進税のマクロ経済動学効果が生産の外部性効果の大きさに依存せず、均衡の不決定性が起こらないことを示し、関連分野に新しい研究結果を加えた。 2)小国開放経済における産業構造変化について議論したHu and Mino (2015)を拡張し、Capital Accumulation, Trade Patterns and Structural Change について北京大学のWorkshopにて報告した。労働分配率の変化に関する最近の実証分析結果に注目し、異質性のある企業を導入することによって、産業間の構造変化に加え、産業内の構造変化を検討する必要性が残っている。 3)三野和雄教授との共著論文"Economic Growth and Financial Integration with Home Production"を国際コンファレンスにて発表し、非市場活動を含んだ成長モデルにてマクロ経済政策の効果を分析した。国内及び国際金融市場の発展度合いをこのモデルに導入し、マクロ経済政策効果にどのような影響を与えるかをより詳しく検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料の準備・整理や関連文献のSurveyに時間が必要のため、おおむね計画通りに各研究テーマごとに進める一方で、論文の作成や研究結果の整理にもっと早く推進することを認識している。共著者との研究打ち合わせの回数がもっと増やすように計画している。
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今後の研究の推進方策 |
1)研究メンバーの共同研究体制の維持と強化を計画している。各自の研究以外に、研究分担者との3人または2人ごとに電子メールなど定期的に研究の進め度合いをお互いに確認する。
2)海外協力研究者と共同研究を継続に推進する。2018年10月にPing Wang教授を日本に招いて、西村和雄教授と三人の発展途上国の経済成長に関する共同研究について研究打ち合わせをする。三野和雄教授、Been-Lon Chen教授と夏休み中に関西での集中研究相談も予定している。
3)各研究テーマに関する研究が進めているだけではなく、学術誌への投稿論文をもっと順調にAcceptされるように工夫する。
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