研究実績の概要 |
本研究は、成長戦略が経済成長、経済全体の生産性、および資源配分に及ぼす効果を、異質な経済主体を含むマクロ経済モデルを用いて定性的に理解すると共に、当該モデルを用いたシミュレーションとミクロデータを用いた計量分析によって定量的に明らかにすることを目的としている。 平成29 年度は、モデルの構築及び手法の開発、データの申請・整備、プログラムの作成、推計・シミュレーションを行うことを目標に作業を進めた。具体的には、①政策の不確実性が資源配分および経済全体の生産性に及ぼす影響を分析するために、異質な経済主体を含むマクロ経済モデルを構築し、シミュレーションを行った(Hosono, Takizawa, and Yamanouchi, 2017)。また、企業活動基本調査、海外事業活動基本調査、および工業統計の個票などのミクロデータを申請・利用し、生産性の要因分解のためのデータベース化を行った。さらに、データベースを用いて、②中小企業政策など企業規模に応じた規制・補助が企業成長に及ぼす影響の分析(Hosono, Takizawa, and Tsuru, 2017)、③国内での無形資産の蓄積が海外子会社の生産を増加させる効果の測定(Hosono, Miyakawa, and Takizawa, 2017)、④無形資産投資に伴う外部資金調達手段の選択とその企業成長への効果に関する分析(Hosono and Takizawa, 2017)を行った。 これら①から④の研究成果は、すでにディスカッションペーパーとして公表しており、さらに、Western Economic Association International、Comparative Analysis of Enterprise Data, 日本経済学会など内外の学会で報告し、コメントを受けて鋭意論文の改善に取り組んでいる。
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