東アジアにおける自由貿易協定(FTA)利用額のデータを用いて、2つの課題について研究を行った。第一に、複数のFTAが利用可能なときの関税スキーム選択を分析した結果、取引額が大きいほど、最恵国待遇スキームではなく、FTAが用いられること、そしてFTAの中では、より原産地規則が厳しくない、もしくはより特恵関税率が低いFTAが選択されていることが示された。第二に、原産地規則遵守にかかるコストと原産地証明にかかるコストを計測した結果、前者は製造原価の1.5%程度であること、後者は輸出固定費の14%程度であることが示された。またこれらのコストは輸出入国における港湾の効率性や汚職度と有意に関連していた。
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