研究課題/領域番号 |
17H02548
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
谷本 雅之 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (10197535)
|
研究分担者 |
木下 光生 奈良大学, 文学部, 准教授 (10520629)
飯田 恭 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (20282551)
荒武 賢一朗 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (90581140)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 公共財供給 / 再生産 / 備荒貯蓄 / 名望家 / 郷紳 / 投資家社会 / 領主・領民関係 / 村 |
研究実績の概要 |
経済生活の維持・再生産の過程において、市場と個人の関係性の中では処理されにくい問題への対応がどのようになされ、それが当該の経済社会の政治・社会制度や人々の再生産の構造とどのような関係にあったのか。本年度はこの課題への接近を深めるために、第一に月例の研究会を開催して、近世日本、中国、イギリスの社会政策・地域社会論の専門家を招聘し、備荒貯蓄や公共事業の遂行の具体相から、その担い手、地方政府と中央政府との関連などについて、最新の研究成果を吸収した。また、これらの近世社会が人々の再生産に対する対応の在り方の相違について、それぞれの社会・経済構造を踏まえた理解を深めるために、共同研究メンバーを交えて、立ち入った議論を行った。それをもとに、再生産を支える仕組みの相違を、社会における私的関係・公的関係および市場関係の編成の仕方の差異として理解する方向で、諸概念の整理が進みつつある。近世日本とプロシアの領主ー領民関係の相違を、「私的関係」の強弱で説明しようとする試みはその一つである。また、この課題遂行のベースとなる共同研究の成果を英文著作として刊行する計画が具体化したため、英語論文の作成・提出と、それに対するreviewerのコメントを受けた改稿作業にも取り組んでいる。コメントへの対応を議論する中からも、本研究の課題への接近に有益な議論が深まってきている。また、研究代表者はアメリカおよびイギリスで、小経営の再生産を支える中小企業的な事業展開に関する資料収集も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究会を毎月開き、課題に関する議論を深めている。また関連領域の専門家の招聘も3度行っている。英文論文集刊行へ向けての取り組みも、大学出版社へのコンタクトから原稿の提出、reviewを受けての改稿作業の段階に至っている。
|
今後の研究の推進方策 |
定期的な研究会を続けるとともに、個別実証報告に基づく共同研究者間の相互の報告会も行い、比較史へ向けての全体像の構築と、実証研究との融合を進める。その過程で、個々の史料調査も適宜行うこととする。
|