研究課題/領域番号 |
17H02550
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済史
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
黒澤 隆文 京都大学, 経済学研究科, 教授 (30294507)
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研究分担者 |
橘川 武郎 国際大学, 国際経営学研究科, 教授(移行) (20161507)
ドンゼ ピエール・イヴ 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20635718)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 多国籍企業 / 政治リスク / 大戦 / 組織 / 税制 / 戦略 / 国際経営 / 地政学 |
研究成果の概要 |
A.1880年代頃より政治リスク回避を目的に持株会社が多用された。B.第一次大戦と税負担の急増への対応で1920年代の欧州で持株会社が普及し,欧州企業の統治構造を不透明なものとした。C.各地の「逃避地経済」が各国政府の支援・是認の下にその受け皿として浮上した。D.こうした非市場リスクと組織構造の関係と特殊な組織デザインは,冷戦と戦後の脱植民地・ナショナリズムの高揚の中で維持された。E.日本でも1930年代から第二次大戦後のエネルギー産業では非市場リスクは対日投資や在日子会社の組織形態を規定した。近年,経済安全保障問題の焦点化と分断リスクの高まりで「組織デザイン」が再度焦点化している。
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自由記述の分野 |
経済史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
経営史では,企業の戦略・組織の変遷を技術的・市場的条件等で説明してきた。「資本主義の多様性」論やビジネス・システム論,企業統治研究も同様である。しかし,米中の覇権対立を軸に国際秩序が動揺する今日,自由で統合された世界市場を自明視し,企業が政治的制約に煩わされず経済合理性のみで行動すると想定することの非現実性が,再び認識されつつある。総力戦の時代の企業の経験が企業の戦略・組織に及ぼした影響を解明した本研究は,企業戦略・組織に関する歴史像を転換したというのみならず,安全保障や政治リスクに直面する今日の多国籍企業に直接の教訓を与えるという意味でも意義を持つ。
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