研究課題/領域番号 |
17H02556
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
矢後 和彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30242134)
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研究分担者 |
伊藤 カンナ 桃山学院大学, 経済学部, 准教授 (30334999)
西川 輝 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (30622633)
浅井 良夫 成城大学, 経済学部, 教授 (40101620)
石坂 綾子 愛知淑徳大学, ビジネス学部, 教授 (40329834)
須藤 功 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (90179284)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 世界銀行 / 国際復興開発銀行 / 開発金融 / 経済成長 / 国際通貨システム / 国際通貨基金 |
研究実績の概要 |
研究期間の初年度にあたる平成29年度においては、研究課題の基礎となる資料収集を系統的に行い、また研究代表者・分担者のスタートアップをふまえて学会パネルを組織した。その概要は以下の通りである。 (1)当年度の夏に米国国立文書館(ワシントン)およびジョンソン大統領図書館(オースチン)に出張して世界銀行の政策・理論にかかわる一次資料を収集した。米国国立文書館では世銀の対日政策・アメリカと世銀とのかかわりを中心に、研究課題に裨益する重要な資料が獲得された。ジョンソン大統領文書館では、当該大統領在任期(1963-68年)の財務長官ファウラーの文書、世銀総裁を勤めたマクナマラ(前国防長官)の文書、またアメリカの開発政策にかかわる資料を収集した。あわせて、ニューヨークの国連文書等も獲得した。 (2)社会経済史学会全国大会(慶応義塾大学)において世銀の政策形成に関するパネルを組織した。パネルでは、研究代表者・矢後、研究分担者・浅井、須藤が報告を担当し、他分野の研究者にもコメントを仰いで、当研究課題の問題構成をひろく学会に発信した。 (3)早稲田大学において経済成長と開発政策をめぐる国際研究集会を開催し、フランス、中国、カナダ、ノルウェー等から研究者を招聘して国際共同研究を行った。 (4)上記の研究活動のほか、研究会を組織して研究の進捗を相互に点検し、所要の研究目標を達成した。研究会では、世銀の対日借款、ドイツにおける世銀債の発行・引受、アメリカの戦後武器譲渡と対外援助、世銀とOECDの関連などがテーマとして取り上げられた。 (5)進展のあった主題について、研究代表者・分担者がそれぞれの成果を国際的な著作も含めた媒体に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間の初年度に構想した資料収集は予定通り遂行することができた。とりわけジョンソン大統領図書館では、1960年代の米国の通貨ドクトリンを担ったファウラー財務長官の文書を系統的に獲得した。 研究のスタートアップとしては、研究代表者・分担者が分担した領域について、ほぼ予定予定通りに文献の収集を行い、研究会での報告を通じて課題領域の全体像を把握することに務めた。世銀の制度的な側面については、予定以上に知見の集約・共有を終えることが出来、借款受入国等、各国の情勢についても理解を深めた。 成果の発表については、初年度のためにスタートアップに重点を置いたが、社会経済史学会で本格的なパネルを構成し、関連分野の研究者から貴重なコメントをたまわることができた。日本(研究分担者・浅井)、アメリカ(研究分担者・須藤)、国際機関との関係(研究代表者・矢後)については、早々に成果を取りまとめて発表した。 現時点までで予期しない事態により研究計画を大きく変更するにはいたっておらず、研究課題はおおむね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、過年度のスタートアップをふまえて、成果のとりまとめに向けた追加的な史料収集および研究報告等に重点を置く。2018年には7-8月に開催される世界経済史会議(ボストン)に研究代表者・矢後と研究分担者・須藤が出席し、セッション報告等を通じて研究課題の成果を国際的に発信する。 2018年秋には国内の学会でパネル報告に応募し、借款受入国の歴史的情勢、国際通貨システムとの関連など、昨年度から発展しつつあるテーマを深耕する。これまでの研究を通じて、開発金融、開発経済学、国土建設、エネルギー政策などの論点が浮上してきており、こうした分野の研究者を糾合したセッション等を組織して知識の拡充に務める。 他の研究分担領域については、今年度のスタートアップをふまえて、次年度以降に成果の発表を順次すすめていく。各国の借款受入については、学会誌・紀要等に積極的に中間報告を発表しつつ、研究課題の総括的な総合に向けた準備を進めていく。 現時点では研究計画の変更等の問題は生じておらず、予定通りの計画を研究期間内に完遂する所存である。
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