研究課題/領域番号 |
17H02556
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
矢後 和彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30242134)
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研究分担者 |
伊藤 カンナ 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (30334999)
西川 輝 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (30622633)
浅井 良夫 成城大学, 経済学部, 教授 (40101620)
石坂 綾子 愛知淑徳大学, ビジネス学部, 教授 (40329834)
須藤 功 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (90179284)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 世界銀行 / 国際復興開発銀行 / 開発金融 / 経済成長 / 国際通貨システム / 国際資本移動 / ユーロ市場 |
研究実績の概要 |
研究期間の2年次にあたる今年度は、初年度に獲得した資料を精査・分析した上で、あらたな体系化と成果の中間的発表に注力した。当初の課題をふまえつつ、開発金融と国際資本移動の内的な関連をあきらかにするという視点が一層明確にされた。研究活動の概要は以下の通りである。
(1)2018年8月に開催された世界経済史会議ボストン大会に研究代表者・矢後が参加し、セッション報告を担当した。報告では、開発金融と国際通貨システム、オイルショックとの関連を取り上げた。矢後は複数のセッションでオーガナイザーをつとめ、オックスフォード大学シェンク教授、ルント大学アルタムラ研究員らと国際共同研究を推進した。(2)2018年8月に研究代表者・矢後がパリのOECD本部に出張し、OECDの開発援助委員会(DAC)に関わる一次資料を獲得した。これらの資料は今後の研究に直接裨益する国際資本移動に関わる情報を含んでいる。(3)2018年8月に研究分担者・浅井、須藤、石坂、西川が米国・ニクソン大統領文書館に出張して、1970年代の国際資本移動と開発金融に関わる資料を調査した。(4)2018年10月に開催された政治経済学・経済史学会秋季学術大会(一橋大学)において研究分担者・伊藤、石坂、西川がパネル報告「第二次大戦後の国際収支問題と開発金融―1950年代から60年代を中心に」を行った。当該パネルでは隣接領域の研究者からも多数の参加を得て、研究の基礎視角をめぐって活発な討議がかわされた。(5)上記パネルを中心に、研究グループの研究会・打ち合わせを名古屋大学および早稲田大学で開催した。(6)上記に係る研究成果を内外の学会誌・学会報告で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間初年度の資料収集、および社会経済史学会におけるパネル開催をふまえて、開発金融と国際資本移動の関連という新たな視点が提起された。今年度はこの新しい視点に立って、研究課題の順調な進捗をみた。とりわけ、これまでわが国では必ずしも注目されてこなかったニクソン大統領文書館において重要な資料を獲得したことは、最終年度の成果とりまとめに向けた本研究課題の遂行にとって重要な達成となった。研究成果の中間的な発表についても内外で順調な発信を行うことができた。特に、昨年度の社会経済史学会につづいて、今年度は政治経済学・経済史学会でパネルを開催し、2年度連続で全国規模の学会において成果の体系的な集約ができたことは特筆に値する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、最終年度における成果とりまとめに向けて、研究の総括に注力する。具体的には、(1)1950-60年代における国際資本移動の実態について、今年度に獲得したDAC資料などを基礎にデータを集約する、(2)1960年代以降の国際資本移動と開発金融の関係について、これまで獲得した資料をもとに、地域・機関などに即した類型的な整理を行う、(3)同時代の国際通貨理論・国際通貨システム構想について今年度に獲得したニクソン大統領文書等をもとに展開する、(4)上記をふまえて、援助・被援助の各国別に歴史的状況を叙述し、体系的な展望を得る。 上記の研究計画を遂行するための補助的な資料収集および研究会の開催旅費を計上している。なお研究計画の変更あるいは研究遂行上の問題点については該当がない。
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