研究課題/領域番号 |
17H02559
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
関口 倫紀 京都大学, 経営管理大学院, 教授 (20373110)
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研究分担者 |
井口 知栄 慶應義塾大学, 商学部(三田), 准教授 (20411209)
萩原 俊彦 名古屋経済大学, 経営学部, 教授 (70360237)
田中 秀樹 京都学園大学, 経済経営学部, 准教授 (90567801)
笠原 民子 静岡県立大学, 経営情報学部, 講師 (40523189)
戎谷 梓 大阪大学, 経済学研究科, 助教 (90709867)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 国際経営 / 国際人的資源管理 / 国際研究開発 |
研究実績の概要 |
研究初年度であった平成29年度は、「国際研究開発戦略・組織・人的資源管理の相互作用」および「研究開発の国際分業における知識創造・知識移転プロセス」の作業グループごとに、先行文献のレビューの実施と、各種フィールド調査、アンケート調査などを実施した。また暫定的な研究成果を複数の国際学会にて発表した。 「国際研究開発戦略・組織・人的資源管理の相互作用」については、まず、多国籍企業の国際研究開発拠点のリロケーションの条件に関する文献整理を行い、タイ、フィリピン、シンガポールの個別事例を調査した。また、グローバルな半導体装置メーカーA社の研究開発人材の人的資源管理への認識、モチベーションやグローバル化への意識などについて問うたアンケート調査を実施した。さらに、在タイ日系企業を対象に、研究開発を含む各種チームのマネジメントの状況、現地人材のマネジメントの制度や方法、経営理念の浸透度合いなどについてのアンケート調査を実施した。日本の多国籍企業B社の研究開発戦略および国際人的資源管理の状況についてのインタビュー調査の実施準備も行った。 「研究開発の国際分業における知識創造・知識移転プロセス」については、バーチャルチーム、コミュニケーション、知識移転、理念浸透等の文献レビューを行い、ソフトウェア開発を行う国際バーチャルチームに対する言語、コミュニケーション、チームメンタルモデルに関する分析結果を記載した論文を作成した。また、職場風土や上司のサポートが日本の研究開発人材のワーク・エンゲージメントに与える影響について分析を行ない、上司からのサポートや自己効力感の重要性を明らかにした。さらに、企業が実施する海外派遣(企業からの派遣留学含む)によって研究開発人材の人的ネットワーク・キャリア満足度を向上させて創造的行動(知識提供など)を促進させることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究計画においては、当該テーマに関する文献レビュー、国内外の学会等への参加を通じた情報収集などを中心に、次年度以降に本格的に行うフィールド調査やサーベイ調査などの基礎固めを行うことが想定されていた。実際には、「国際研究開発戦略・組織・人的資源管理の相互作用」および「研究開発の国際分業における知識創造・知識移転プロセス」の両作業グループにおいて、先行研究の文献収集のみならず、様々な国や地域、異なる産業を含む複数のアンケート調査やフィールド調査の実施が実現し、比較的早い段階から実証データの蓄積が進んでいる。それらの成果の一部は、国内外の学会で報告され、学術誌に投稿中のものもある。また、研究メンバーの国際的なネットワークを活用した海外研究者等からの情報提供なども着実に実施できている。このように、今年度は研究初年度であったにも関わらず数多くの文献、情報、実証データなどを収集することができた。一方、これらの情報やデータを整理して新たな理論構築のために体系立てていく作業についてはまだ十分にできていないため、次年度に持ち越された課題であると認識している。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度以降については、「国際研究開発戦略・組織・人的資源管理の相互作用」および「研究開発の国際分業における知識創造・知識移転プロセス」の両グループにおいて、文献レビューを引き続き推進して既存知識の体系化と新たな理論構築に向けた筋道を作り、作業グループごとに新たな理論的フレームワークを構築する。最終的にそれらを統合することによって包括的なフレームワークを完成させる。それに並行して、これまで実施済みの各種調査のデータの詳細な分析作業を進め、さらに新たな数量的調査およびフィールド調査を実施することによってデータの蓄積を行う。 「国際研究開発戦略・組織・人的資源管理の相互作用」については、昨年度の研究成果を踏まえ、国際研究開発戦略・組織と研究開発人材の国際人的資源管理・グローバル・タレント・マネジメントとの適合関係に焦点をあてた仮説・モデル・理論構築を推進する。「研究開発の国際分業における知識創造・知識移転プロセス」については、昨年度の研究成果を踏まえたプロセス・モデルを構築し、縦断的サーベイないしはフィールド実験による数量調査によって検証していく。また、海外からも著名な研究者を招いて研究会等を行うことで、構築中のフレームワークや論文の改善や精緻化を図る。 これまでの暫定的な成果および平成30年以降に新たに生じる研究成果についてはAcademy of International Business, Academy of Management, Association of Japanese Business Studies, Euro-Asia Management Studies Associationなどにおいて論文を投稿・報告し、国際的な研究者からのフィードバックを得るようにする。そしてこれらのフィードバックに基づき、論文を国内外の学会や海外の有力な学術誌に投稿をしていく。
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