本研究では、従業員の加齢と革新的行動との関係、及び加齢とともに革新的行動が維持・促進されるための条件要因を理論的・実証的に検討することを目的とする。具体的には、①日本企業の文脈における中高年人材に求められる革新的行動の概念精緻化と定量的に測定可能な尺度開発、②人材の加齢と革新的行動との関係の検討、及び③加齢を経ても革新的行動が維持・促進されるための組織・職場・個人の条件要因の析出と検証を行う。最終年度にあたる2020年度(新型コロナ感染症の影響により、2021年度まで延長)は、主に以下の活動を行った。 ①定量メインサーベイの実施(前年度から継続):前年度に引き続き、40歳以上の中高年従業員(管理職を含む)を対象とした意識調査を質問紙形式の定量調査を行ない、大規模サンプルのデータ収集を完了させた。 ②定量データの解析と検証:研究当初に設定した仮説的なフレームワークをもとに、データ分析と仮説の検証を行った。特に加齢と革新的行動の関係における複数の条件要因を統制群・非統制群にグループ化した上で、加齢が革新的行動に与える効果の検証が進められた。 ③成果の実務的還元: 成果を調査協力企業にフィードバックすると同時に、実務家向けの雑誌媒体への発信も積極的に行った。 ④成果の学術的貢献:国内外の主要学会での発表と海外主要ジャーナルへの投稿等を行った。具体的には、経営学領域における国際的な権威である英国・経営学会(British Academy of Management)をはじめ、複数の主要学会で研究報告を行った。また、論文は社会科学・学際領域及び経営学領域のトップジャーナルであるHuman Resource ManagementとJournal of Organizational Behaviorの投稿を準備している。
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