研究課題/領域番号 |
17H02566
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
水野 基樹 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (20360117)
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研究分担者 |
水野 有希 東京交通短期大学, 運輸科, 講師 (20450231)
山田 泰行 順天堂大学, スポーツ健康科学部, その他 (80531293)
芳地 泰幸 日本女子体育大学, 体育学部, 准教授 (70736256)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コミュニケーション / 看護組織 / 行動センサ / ライフログ / 音声病態分析 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、各種AIの安全な測定方法と測定バイアスへの対策を検討するための予備調査を行った。具体的には、平成29年11月に、大学病院1病棟正規雇用として勤務する看護師30名(M=30.7歳, SD=±7.57)を対象に、行動センサ(電子バッジ)によるコミュニケーション測定を行い、その後、質問票調査を実施した。 ※対象者の年齢階級区分:20代=17名,30代=10名,40代以上=3名、性別:男性=4名,女性=26名、役職:師長=1名,主任=2名,スタッフ=27名。 行動センサ調査では、対象の看護師30人に電子バッジ型のセンサを2週間装着させた。併せて行動センサが収集したデータを受信するための赤外線受信機(ビーコン)を計60台ほど調査対象の病棟内に設置した。上記の両調査機材により、どの看護師が、誰と、どこで、どのくらい(何分間)コミュニケーションをとったか、或いはどのような活動を行っていたかを推定することに成功した。結果、対象病棟のコミュニケーションネットワークの傾向を把握することができた。主な知見は以下の5点である:①管理職者以外にもコミュニケーション上のキーパーソンが存在すること、②女性を中心にコミュニケーションが広がっていること、③若手よりも中堅・ベテランのコミュニケーション量が多いこと、④中堅がコミュニケーションを繋いでいること、⑤アサーティブが高い者は高い者と、低い者は低い者と会話する傾向があるが、それぞれのキーパーソンが互いに情報を共有していること。また、行動センサが取集したデータと質問紙調査によって得られたデータを統合し、調査対象病院に対して、組織活性化に向けた組織改善のための成果報告会(フィードバック)を、組織的視座と個人的視座から実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の平成29年度研究計画の予定通り進捗した。まず、AI(行動・音声・生体センサ)を用いた「組織の活性化」の測定評価に先立ち、病院内での安全な調査方法の確立と測定バイアスの特定、およびバイアス回避の対策を目的としてする予備調査を実施した。つぎに、予備調査で得た知見に基づき、行動センサを用いて2週間の本調査を1病棟(看護師30名)を対象に実施した。主な実施内容は以下の通りである。 ①行動センサと腕時計型の生体センサを通常業務を妨げないように装着する方法、行動センサの受信機である赤外線ビーコンとPCおよび音声センサの安全な設置場所等について、調査対象の病院(病棟)と協議、検討した。②看護師が装着する行動センサ(電子バッジ)や病棟内に設置するビーコン装置等の調査機材が、病棟内の離床センサ等の電子機器との干渉や誤作動がないかを、実際の調査対象の病棟内にて実地調査を行い、調査機材が病棟内の電子機器に対して、一切の影響がないことを確認した。③対象の看護師30人に電子バッジ型のセンサを2週間装着してもらい、病棟のコミュニケーションネットワークの傾向を把握した。④本調査の実施後に「調査開始後、何日目からデバイスの装着が気にならなくなりましたか?」などのヒアリングを行い、各種AIの装着による測定バイアスの種類を特定し、その影響を最小限にするための対策を講じた。⑤行動センサが取集したデータと質問紙調査によって得られたデータを統合し、組織活性化に向けた組織改善のための成果報告会(フィードバック)を、組織的視座と個人的視座から実施した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は大学総合病院の1病棟(約30名)の看護師にインフォームドコンセントを行い、腕時計型の生体センサによるアクティビティ測定と音声センサによる音声病態分析を実施予定である。測定後には基準関連妥当性を検証するための質問票調査と面接評価を実施する。これらの各種AIによる測定を行うことによって、アクティビティ、モチベーション、ストレス状態を測定し、質問票評価および面接評価の結果と照合しながら(基準関連妥当性の検証)フィードバックシート作成の基準となるカットオフ値を定義する。なお、生体センサによるアクティビティの算出に際しては、新型生体センサの技術開発を行った㈱日立製作所のシステムエンジニアと連携して実施予定である。また、音声センサを用いた音声病態分析技術に基づくモチベーション変数の算出は、音声センサの技術開発者の1人であり協力研究者である東京大学の研究者の協力の下で実施予定である。
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