研究課題/領域番号 |
17H02600
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研究機関 | フェリス女学院大学 |
研究代表者 |
小ヶ谷 千穂 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (00401688)
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研究分担者 |
大野 聖良 お茶の水女子大学, グローバルリーダーシップ研究所, 研究員 (20725915)
原 めぐみ 和歌山工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (90782574)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日比間の人の移動 / JFC / 支援組織 / 移住女性 |
研究実績の概要 |
8月中旬~9月上旬にかけて、研究代表者・研究分担者と共同で現地調査・資料収集および研究打ち合わせを実施した。研究初年度である本研究は、とりわけ調査対象団体との丁寧なコミュニケーションと、各組織の活動の特徴に合わせた調査アプローチを入念に選定することを目標とした。その準備のために、いずれもマニラ首都圏に事務所を置くJFC支援組織DAWN(Development Action for Women Network)、Maligaya House, Batis Center for Womenを訪問し、活動の現状および今後の本研究との協働体制について聞き取り調査を行った。また、日程に余裕ができかつ今回の調査期間中に訪問の必要性が高まったため、ダバオ市に拠点を置くJFC支援組織であるCOW(Center for Overseas Workers)および、JFCの母親たちの自助組織のリーダーに対してもインタビューを行い、マニラ首都圏とは異なる状況についての知見を得ることができた。調査の結果、当初予定していた複数団体を統合したスタイルではなく、各団体と個別にアクション・リサーチやシンポジウムを共同で実施する方針を確認した。 第1回の調査を踏まえて、日本側のJFCネットワークにも協力を仰ぐことになり、過去の活動資料の収集も行うことができた。なおDAWNの過去のニュースレターはすでにデジタル化を終えている。 3月にはマニラ首都圏において同じく研究代表者・研究分担者で共同調査を行い、研究協力者として大野恵理(フェリス女学院大学大学院)を同行した。各協力団体とそれぞれに来年度開催を予定しているシンポジウムの打ち合わせをしたほか、これまでに整理しデジタル化した資料の共有を行った。また、ルソン島北部にて首都圏とは状況の異なる移住女性とその子どもたちについての聞き取り調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
各協力団体との綿密なコミュニケーションによって、当初の計画をよりよい形で発展させることができた。資料収集の面では、すでにDAWNのニュースレターのデジタル化を終え、分析に取り掛かることができている。また、JFCネットワークの過去の活動資料については、当初想定していた刊行物のほかに、VHS動画資料も入手することができ、現在そのデジタル化の作業および分析を進めているところである。 また各団体との研究2年目における共催イベントおよびアクション・リサーチの具体的な計画も策定することができ、全体として当初の計画以上に研究が進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目にあたっては、当初の予定よりもよりアクション・リサーチの実践に力を入れることとする。具体的には、2018年5月には日本(大阪・横浜)においてDAWN主催のJFC組織の来日に合わせて、共催イベント(活動の振り返りとJFCやスタッフのこれまでの経験の共有)を開く。また、2018年8月・9月にはマニラにおいてMaligaya Houseの設立20周年プロジェクトとして、過去にクライアントであったJFCの経験を語るイベントを共催するほか、Batis Center for Womenとも過去のJFCクライアントや移住女性、スタッフとのFGDイベントを共催する予定である。 上記のようなアクション・リサーチの成果は、各協力団体の活動そのものに大きく寄与するだけでなく、日本とフィリピン双方の市民社会に対して、これまでのJFCや移住女性支援の推移と今後の課題について広く問題提起するものであり、より本研究の社会貢献の度合いが国際的に高まっていくものと考えている。
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