研究課題/領域番号 |
17H02601
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
尾嶋 史章 同志社大学, 社会学部, 教授 (30177224)
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研究分担者 |
森山 智彦 下関市立大学, 経済学部, 特任教員 (00547903)
多喜 弘文 法政大学, 社会学部, 准教授 (20634033)
小林 大祐 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (40374871)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 国際比較 / NEET / 若年労働市場 / 社会学 / 無業者 / 社会階層 |
研究実績の概要 |
2017年度は,5月にオックスフォード大学での全体会合を行い,各国データの整合性や分析手法,さらには分析概念の共通認識を形成する必要があることを確認した.そのため9月にマーストリヒト大学で1週間、ワーキンググループによる集中的なワークショップを実施した.この後、各国が分析を進め、その成果を2018年5月に京都で開く次回会合(京都会議)で報告することとなった。また5月のオックスフォードでの会合を受けて5月末、10月さらに3月と国内での研究会を開催し,日本での研究の方向性を検討した.具体的な成果の一部は、下記の通りである. 1.NEETの基本的特徴に関する分析 15歳から34歳に関して就業構造基本調査を分析した結果,以下の点が明らかになった.5歳きざみの年齢層で比較すると,どの年齢層でも男女とも単身者で無業者の割合が1992年から2002年にかけて増加していることが確認された.また学歴が高くなるほど無業者になりにくくなる傾向があるが,特に女性では大卒が無業化しにくい傾向が近年強まっていることが明らかになった.今後は,NEETの排出要因としての「世帯」の影響に注目して基礎分析を進めていく. 2.NEET状態への移行と退出に関する分析 最初の計画ではSSMデータやJLPSデータを用いて,NEET状態の出現やそれからの離脱に関する分析を行う予定であったが,サンプル数が少ないため断念した.それに代わって 21世紀成年者縦断調査(平成14 年成年者)データを取得し分析を進めた.9月にオランダ・マーストリヒトで行ったワークショップの合意に基づきシークエンス分析を行った結果,若年期における無業化・有業化に関わる基本的な4類型もしくは5類型を識別することが可能になった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度において,国際比較の根幹となる分析にほぼめどがついた.NEETの家庭的背景について世帯データを作成して分析する課題が残されているが,シークエンス分析を用いたNEET類型に関してはほぼ完成している.今後の1年あまりで国際比較をまとめていくための初年度の成果としては,十分なものであると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
若年層の国際比較に関しては、基本的な部分でのデータ分析は順調に進んでいる.無業は,単に若年層にとどまらない問題であるので,2018年度以降は,中高年男女の無業問題についても並行して研究を進めていくことを考えている.若年無業を起因とする中高年無業が生じていることや,無業要因の若年層と中高年層の異同を検討することで若年層の問題もより明確に認識できること,さらに社会階層研究としても無業の位置づけをどのようにするかが重要な課題であるためである.国際比較の推進とは別に,小林を中心として広く無業問題を検討するため研究班を立ち上げ,2018年度から研究に着手することとした。
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