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2017 年度 実績報告書

20年間追跡調査に基づく虐待予防および悪化防止機序の解明と支援モデル開発

研究課題

研究課題/領域番号 17H02604
研究機関筑波大学

研究代表者

安梅 勅江  筑波大学, 医学医療系, 教授 (20201907)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード虐待予防
研究実績の概要

本研究は、虐待予防および悪化防止機序の解明を目的とした。
全国の0歳~6歳児と保護者を対象に、毎年3,000組ずつ平成11~30年の20年間パネルコホート研究を継続したデータ(約60,000組)の卒園児に対する郵送追跡調査を実施した。併行して支援効果検証のための在園児3,000名に対する質問紙調査と訪問面接調査を実施し、「不適切な養育環境」の特性別の発達軌跡と影響要因、支援効果に関する科学的な根拠を提示した。養育環境、サポート環境、子どもの発達状態、健康状態、社会適応、問題行動などの評価は、欧米で開発され日本で標準化された評価指標を活用し、海外既存研究と比較検討が可能な客観的な評価手法を用いた。
科学的な根拠に基づく「虐待予防および悪化防止支援モデル」の開発として、1)海外コホート研究の成果に基づく「虐待予防および悪化防止支援モデル」の開発過程、内容、評価に関する系統的レビュー、2) 青年期におよぶ大規模コホートデータの分析結果、3) 保護者と子育て支援専門職のフォーカス・グループインタビューにより得られた情報、4)申請者らが開発済みの「養育環境評価指標」、5)支援モデル実施によるプロセス評価、6)支援モデル実施のアウトカム評価を総合的に分析し、統計的妥当性及び臨床的重要性を加味しながら、有効な項目を抽出して体系化し、「虐待予防および悪化防止支援モデル」を開発した。
さらに、実践の場において「虐待予防および悪化防止支援モデル」を十分に活用するために、具体的な実践につながるさまざまな形の活用方法を提示した。不適切な養育環境の特性別に、子ども、保護者、専門職、子どもの友人、近隣地域などに向けて、実際に支援を活用する際の目的、方法、進め方のコツ、把握する必要のあるポイント、予測される成果などを詳細に解説したホームページを作成し広く利用可能とした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通りに進捗しているため。

今後の研究の推進方策

平成30年度には、下記の研究を実施する予定である。
1.「虐待予防および悪化防止支援モデル」試案の実施とプロセス評価:保護者に対する郵送調査(家庭環境と支援ニーズに関する実態把握)、医療・福祉・教育専門職による子どもへの面接・観察調査(子どもの心身の健康と課題に関する専門的な評価)を実施する。専門職による子どもの発達状態、健康状態、社会適応、問題行動の評価、保護者に対する質問紙調査、専門調査員による家庭環境評価、面接調査、環境評価を行い、評価の妥当性を検証しつつ不適切な養育環境の特性別パネルコホートを用いた支援モデルのプロセス評価を行う。支援実施群とコントロール群において、子どもの発達状態、健康状態、社会適応、問題行動につき、保育環境、家庭環境、家族と子どもの属性要因の影響を除いて比較分析する。
2.「虐待予防および悪化防止支援モデル」の「保育の質の評価指標」への反映:申請者らがすでに開発している「保育の質の評価指標」の枠組みである「子ども」「家族」「保育環境」「連携」の4領域について、家庭、子育て支援機関、地域との連携により「虐待予防および悪化防止支援モデル」を反映した形で総合的に展開できるよう検討を加える。
3.青年期におよぶ不適切な養育環境の経年推移と関連要因に関する補完調査:前年度に多変量軌跡分析で明らかにした根拠を反映した補完調査を実施し、妥当性の検証を含め、さらに確固とした経年的な影響要因を把握する。
4.プロセス評価に基づく「虐待予防および悪化防止支援モデル」の改訂版の作成:プロセス評価と「保育の質の評価指標」の枠組みを加味し、「虐待予防および悪化防止支援モデル」の改訂版を作成する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ライフコースアプローチによる思春期のwell-being実現に向けた要因解明2017

    • 著者名/発表者名
      渡邊久実 田中笑子 安梅勅江
    • 雑誌名

      発達研究

      巻: 31 ページ: 215-220

    • 査読あり
  • [学会発表] 子ども虐待を低減する要因の検討:6年間の追跡研究より2017

    • 著者名/発表者名
      渡辺多恵子 安梅勅江
    • 学会等名
      日本公衆衛生学会
  • [図書] Empowerment Sciences for Professionals: Enhance Inclusion and a World of Possibilities2018

    • 著者名/発表者名
      Tokie Anme
    • 総ページ数
      60
    • 出版者
      Nihon Syoni Iji Shuppan
    • ISBN
      978-4-88924-257-7
  • [備考] 子育ち子育てエンパワメントに向けた発達コホート研究

    • URL

      http://plaza.umin.ac.jp/~empower/ecd/

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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