研究課題/領域番号 |
17H02606
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
阿部 彩 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (60415817)
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研究分担者 |
可知 悠子 北里大学, 医学部, 講師 (10579337)
安藤 藍 東京都立大学, 人文科学研究科, 助教 (20750441)
末冨 芳 日本大学, 文理学部, 教授 (40363296)
小田川 華子 東京都立大学, 人文科学研究科, 客員研究員 (60424991)
村山 伸子 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (80219948)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 子どもの貧困 / 社会政策 |
研究実績の概要 |
昨年度末から続く新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、前半においては対面の研究会などが開催できない状況にあったが、後半においてはオンライン会議の活用などによって再開することができた。前半においては、貧困研究データベースとしての文献リストの拡充、整理など、「うち籠り」状態であるがこその研究時間の有効活用をし、ほぼ完成することができた。また、投稿論文やworking paperの執筆などを行った。 後半においては、異分野研究者による研究交流会を再開することができ、11月から4回オンラインにて開催した。研究会では、貧困と密接な関係がある外国とのつながりがある子どもの貧困について、移民研究の専門家に報告いただいた。また、貧困の子どもに対する教育現場における教育手法について、教育学の専門家より最新の研究成果をご報告いただいた。さらに、本PJの一環として取り組んだ、高校生のアルバイト就労と貧困に関する分析(社会学・ジェンダー学)、自治体による「子どもの貧困実態調査」の全国調査の結果(社会政策学)の報告を行った。オンラインということもあり、各回、70名~120名の参加があり、研究者・現場、行政による活発な議論を行った。 さらに、「貧困統計ホームページ」においては、厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」を用いた相対的貧困率の詳細分析を行い、それをアップした。 また、本PJにて執筆を計画している一般読者向けの貧困に関する書籍の内容について検討を行い、ほぼ確定した。また、その出版についても、出版社と協議をしているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【異分野の融合】(1-1)「同一データの分析」につては、データベースの構築は完成しており、現在、さまざまな学術分野の研究者らに公開している。分析結果についても、徐々に、学会誌などに掲載されてきている。 (1-2)「貧困に関する知見の共有」については、先に述べたように、コロナ禍の影響で前半は滞ってしまったが、後半においては再開し、オンライン研究会を4回開催することができた。4回ののべ出席者数は、600名を超え、研究者117名、大学生・院生99名、官公庁職員55名、特別区職員37名、メディア36名、一般205名、本PJ関係者24名となっている。 【行政との協動】(2-1)子どもの貧困に関するナショナル・データベースの構築については、すでに10自治体との協議をうえ、データベースに統合した。また、ここから得られる知見を、各自治体にフィードバックしている。 (2-2)「研修プログラム」(オンライン受講プログラム)については、初年度に作成したが、今後は、テキスト・ブック化することとしている。 (2-3)「子どもの貧困統計ホームページ」については、「貧困統計ホームページ」として公開しており、2020年度はページビュー数が約60,000回、訪問者数は約40,000人となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、最終年であることから、これまでの成果をひとつの書籍にまとめることを計画している。新型コロナウィルス感染拡大の影響により、想定されていた対面の研修プログラムの開発は、形態を変え、オンラインで受講したり、自習できるような書籍の形で公開することとする。一般市民および異分野の研究者向け、また、行政職員などが気軽に読み、理解できるような書籍を目指す。内容としては、さまざまな学術分野における子どもの貧困の最新の研究の情報をまとめ、その上で実際の政策立案や子どもを対象とするプロフェッショナル(教員、保育士、児童館など児童関連施設の職員など)の研修を行う際に役立つ資料となるものとする。 「貧困統計ホームページ」については、「2019年国民生活基礎調査」の詳細分析において、特に子どもに特化した分析を行い、公開する。また、貧困の動態についての解説についても、文章化し、なんらかの形で公開する。 異分野の融合については、本PJを通してつながった多数の研究者らをも取り込み、さらなる研究協働につながるような研究プロジェクトの企画および研究費の確保を検討する。
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